難路の「サミット合意」=米、対中国優先も―日米関税交渉



【ワシントン時事】トランプ米政権の高関税措置の見直しを求め、5回目の閣僚級交渉を終えた赤沢亮正経済再生担当相は6日(日本時間7日)、「一致点は見いだせなかった」と明らかにした。同日、トランプ大統領は米中協議のため担当閣僚を英国に派遣すると表明。米中間の協議が本格化すれば、日本との交渉は進みにくくなる恐れもある。15日からカナダで開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)で日米が合意にこぎ着けるのは難しくなりつつある。

赤沢氏は今回の訪米中、5日にラトニック商務長官、6日にもラトニック氏、ベセント財務長官とそれぞれ会談。日本政府同行筋は「少人数で膝詰めの議論ができた」と評価した。

しかし、具体的な進展があったかは疑問だ。赤沢氏は「一連の関税措置の見直しができるのであれば、サミットまで待つ考えはない」と強調。一方、「米側の3人の閣僚との間で精力的に調整を続けていきたい」とも述べており、首脳同士が交渉する段階には至っていないことを示唆した。

さらに、米中協議が日米交渉に影響を及ぼす可能性もある。トランプ氏は6日、ベセント氏らが9日に中国側の代表と英ロンドンで会談するとSNSに投稿。G7サミットが15~17日に迫る中、日本との交渉スケジュール確保は難しくなった。

一連の関税措置全ての撤回を求める日本と、相互関税の上乗せ部分を主な交渉対象とする米側との溝がどの程度埋まったかも不透明だ。米国は日本だけでなく各国に自動車や鉄鋼・アルミニウムなどへの関税を課しており、政府関係者は「こちらの言い分を全て通すことは難しい」と指摘している。

【時事通信社】 〔写真説明〕5回目の日米閣僚級交渉を終え、取材に応じる赤沢亮正経済再生担当相=6日、アメリカ・ワシントン

2025年06月08日 10時31分


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