大手企業、黒字でも人員削減=「雇用思想」に変化も



業績が黒字でも、希望退職の募集などで人員削減に踏み切る動きが大手企業に広がっている。従来は赤字企業が経営合理化のため実施するケースが多かったが、技術革新が加速度的に進む中、余力のあるうちに人員構成の偏りを是正し、持続的成長につなげるのが狙いだ。大規模リストラが目立つ海外企業との競争にさらされ、長期雇用を前提とした日本企業の「雇用思想」が変わりつつあるとの見方もある。

三菱電機は昨年12月~今年1月、53歳以上の従業員らを対象に希望退職を募り、2378人が応募した。募集対象は全従業員の4分の1を占め、人員構成の適正化と若手の積極登用を目指している。国内関係会社でも募集し、グループ全体の応募は計約4700人に上る見通しだ。

2026年3月期の連結純利益は過去最高を見込むが、中長期的にはハードにとどまらないデジタルサービスの拡大が課題となっており、漆間啓社長は「対応できる人材を活用しないといけない」と話す。

パナソニックホールディングスも早期退職を募集し、グループ全体で約1万2000人が退職する見通し。オリンパスは約2000人を削減する方針だ。両社とも黒字決算を見込む。

東京商工リサーチによると、昨年早期・希望退職を募集した上場企業は43社で、このうち約7割が黒字。日本総合研究所の林浩二プリンシパルは「製造業は技術革新の動きが速く、人員の入れ替えをスピーディーにやらないと立ち行かなくなる」と指摘。今後も同様の傾向は続くと予想する。

退職割増金の増額など好条件を示す企業も多いが、希望退職にはネガティブなイメージも強い。中高年の転職市場は活発化しているとはいえ、必ずしも希望通りにならないのが現実だ。

林氏は、海外企業との競争激化や、仕事内容によって待遇が決まる「ジョブ型」雇用の普及などで、日本企業の「雇用思想」が変わりつつあるとみる。その上で、「(希望退職の)趣旨を丁寧に説明し、転職をしっかり支援することが重要だ」と指摘する。

【時事通信社】

2026年02月08日 07時05分

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