
【イスタンブール時事】米国とイスラエルの激しい攻撃下にあるイランで、核拡散防止条約(NPT)脱退を求める声が再び強まっている。核武装の意図を否定しているにもかかわらず、米イスラエルが再び攻撃したことに反発。国際社会との対決姿勢を強めている。
精鋭軍事組織「革命防衛隊」とつながるタスニム通信は28日、「NPT残留の理由はないという国家の総意が固まりつつある。国会などの関係機関がNPT脱退を巡る緊急検証を進めている」と伝えた。国際原子力機関(IAEA)が米イスラエルの攻撃を止めず非難もしなかったと批判し、「脱退すればIAEA査察を隠れみのとした敵のスパイ行為を阻止できる」などと主張した。
反米の保守強硬派が多数を占める国会の安全保障・外交政策委員会に属する議員の1人も27日、SNSで「NPTはわれわれを核保有国から守れず、核施設は繰り返し破壊された。国際的合意も完全に無視された」と投稿。「NPTは何の利益にもならず、残留する意味はない」と訴えた。
イランは昨年6月に米イスラエルと交戦後、IAEAの核査察を拒否。査察受け入れを求めるIAEAとの協力打ち切りも表明した。IAEAは空爆対象となった核施設の現状把握が滞り、高濃縮ウランの貯蔵場所や量も直接確認できない状況となっている。
長期戦に備えつつ、外交による戦闘終結も探るイランの指導部が、実際にNPT脱退へ動くかは見通せない。イランは今回の戦闘前から核兵器保有の意図はないと繰り返しており、仮にNPTを脱退しても直ちに核武装に着手する公算は小さい。
ただ、IAEAは、イランの脱退が「NPT体制の瓦解(がかい)につながる」(グロッシ事務局長)と懸念する。報復攻撃を受けてイランへの脅威認識を強めたサウジアラビアなど中東諸国で、イランへの対抗や抑止力強化のための核開発競争が広がる恐れもある。
【時事通信社】
〔写真説明〕イラン国旗
2026年03月30日 11時13分