
【ワシントン時事】米イスラエルとイランが、戦闘激化によるさらなる供給網の混乱をひとまず回避した。イランはホルムズ海峡での2週間の安全な通航を認めると表明し、原油先物相場は安堵(あんど)感から急落した。ただ、事実上の海峡封鎖が完全に解除されるかは和平に向けた交渉次第。再び急騰するリスクは依然くすぶり、予断を許さない状況が続く。
トランプ米大統領は、ホルムズ海峡の即時の開放を条件に掲げ、イラン側は2週間、ホルムズ海峡の通航を認める考えを示した。市場では原油供給の混乱解消に向けた期待感から、ニューヨーク原油先物相場は1バレル=100ドルを割り込み、一時91ドルまで大幅下落した。
トランプ氏は8日未明、SNSに「順調に進むことを確認するため、(海峡付近で)待機する」と記し、輸送停滞の解消を進める考えを強調した。
海峡で目詰まりを起こした物流は少しずつ再開していた。インドや中国などイランの友好国に加え、日本を含む一部の船舶が通過。だが、交戦前の供給量には遠く及ばない。
輸送停滞を受け、依存度の高いアジア諸国が代替調達先の確保を急いだことで、米国産原油への需要が急拡大。米国産標準油種WTIの相場を押し上げる要因となってきた。
シェールオイル生産の急増で世界最大の輸出国となった米国だが、インフラの制約もあり出荷量は限界に近づいている。米メディアによると、船舶の確保や積み替えなどに支障を来し、出荷能力は大きく低下。現状の上限とされる日量600万バレル近くに達する可能性があり、世界の供給混乱に拍車が掛かる恐れがあった。
今回、米イランは一時的に矛を収めることで一致したが、和平に向けた協議で再び海峡封鎖が取引材料に用いられる懸念は拭えない。
米エネルギー情報局は7日、4月以降に戦闘が続かず、海峡の通航が徐々に再開されても、主要指標の北海ブレント原油価格が4~6月にピークに達するとの見通しを公表。輸送混乱のリスクは当面続き、ガソリンなど資源価格は数カ月にわたって高止まりするとの見方を示している。
【時事通信社】
〔写真説明〕ホルムズ海峡通過後にターミナルに停泊するインド船籍のタンカー=1日、ムンバイ(AFP時事)
2026年04月08日 20時32分