
中東情勢の悪化による石油製品「ナフサ」の供給混乱の影響が、住宅用途にも広がっている。断熱材やシンナーなど資材の値上げが相次ぐほか、TOTOは原材料不足からユニットバスの新規受注を停止。事態が長期化すれば、高騰する住宅価格のさらなる値上がりも避けられない。
「さまざまな資材の原料が石油由来なので、じわりじわりと影響が出始めている」。不動産協会の吉田淳一理事長(三菱地所会長)は9日、記者団の取材に警戒感を示した。
原油から精製されるナフサは、エチレンやプロピレンといった基礎化学品に分解され、最終的に多くの資材の原料となる。日本はナフサの国内消費量の約4割を中東から輸入。国内で精製する約4割も中東からの原油に頼る。ホルムズ海峡の事実上の封鎖で、基礎化学品メーカーは減産や調達先変更、コスト増の価格転嫁を進めている。
こうした動きは「川下」のメーカーにも影響を及ぼしている。日本ペイントは、建築用のシンナー製品を75%程度値上げした。シンナーは、ナフサ由来の有機溶剤が主原料。担当者は「原材料価格が急激に上昇し、物流関連費用も上昇している」と説明する。
カネカも住宅用断熱材の価格を40%引き上げたほか、積水化学工業も塩化ビニール管やポリエチレン管などの価格改定を決めた。
TOTOのユニットバス受注停止は、壁や床に貼るフィルム接着剤や、浴槽コーティング剤に含まれる有機溶剤など、ナフサ由来の原材料不足が原因だ。住宅設備機器を手掛けるLIXILも、樹脂などの供給制限やコスト上昇の影響で、製品の生産や出荷、受注に制限がかかる可能性があるとしている。
大東建託が資材メーカーを対象に行った調査では、影響が懸念される資材として、「照明やユニットバスなどの住宅設備、サッシやクロスなどの内外装建材」が挙がった。混乱が長期化した場合、「全体的には15~20%程度のコスト増が見込まれる」(同社)とみている。
不動産経済研究所によると、昨年全国で発売された新築マンションの平均価格は9年連続で最高値を更新、東京23区では3年連続で1億円を超えた。ナフサ危機により住宅価格の上昇圧力は一段と高まりかねない。吉田氏は「消費者に将来不安が増すようなムードが広がるのが一番怖い」と話した。
【時事通信社】
〔写真説明〕ユニットバス=イメージ
2026年04月15日 08時22分