中東緊張緩和でも家計負担重く=電気・ガス代、秋から上昇圧力―補助金終了で



米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名したことで、原油価格はようやく下落に向かっている。もっとも、燃料価格の動きが遅れて反映される電気やガス代の値上がりはこれからだ。7~9月は政府の補助金で抑制されるが、予定通り終了すれば、10月使用分以降は家計の重しとなるのが避けられない状況だ。

2月末の軍事衝突開始後、原油先物相場の米国産標準油種WTIは1バレル=100ドルを超える場面を繰り返した。米イランの戦闘終結合意で80ドルを割ったが、実質封鎖が続いたホルムズ海峡が開放されても、紛争以前のような自由な航行の実現は不透明。紛争前の水準(60ドル台)に戻るには時間がかかりそうだ。

大手電力の電気代は、貿易統計の燃料価格を基に算定する。7月使用分に反映される5月の原油輸入単価は1キロリットル当たり11万4076円と、4月に続き過去最高を更新。これを反映すれば、電気料金は標準家庭で前月から80~200円程度の値上がりとなる。このため政府は電力需要が高まる7~9月に前年同期を上回る補助を実施。7月の電気代で900円程度を押し下げたい考えだ。

電気事業連合会の森望会長は「停戦で燃料の調達コストが下がっても、効き始めるのは4~5カ月先になる」と述べ、電気・ガス代の上昇圧力は続くとの見方を示す。秋以降も飲食料品や石油化学製品などの値上げは続くとみられ、政府は補助を予定通り終了するか難しい判断を迫られる。

中長期的なエネルギーコストの動向には、原発の再稼働・新増設を含めた脱化石燃料や原油の中東依存低減が大きく影響する。引き続き原油の調達多角化を進めるには、中東産に最適化された設備の改修が必要。輸送距離も長くなるため、輸送費や人件費の増加が避けられない。

赤沢亮正経済産業相は「今回の中東情勢緊迫化で、エネルギー供給源の多角化を考えていかなければならないと突き付けられた」と話す。日本エネルギー経済研究所の森川哲男研究主幹は「コスト高を受け入れてでも、中東以外の供給源に長期的にコミットする動きが強まるのかどうかだ」と今後の動向を注視する。

【時事通信社】

2026年06月20日 07時09分

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