地銀、インドに人員派遣続々=地元企業支援、駐在員事務所設立も



【ニューデリー時事】日本の地方銀行がインドに相次いで人員を派遣している。時事通信の取材では関係会社からも含め地銀9行が送り込んでいるほか、少なくとも7行が近く派遣を計画・検討中だ。高成長を遂げる同国経済の情報を収集し、地元企業の進出支援につなげたい狙いがある。

◇両足突っ込み本腰

首都ニューデリー近郊の会計事務所「AKM

Global」は最近、地銀3行から立て続けに出向者を受け入れた。1人目は昨年5月に着任した京都銀行の児島健太郎さんだ。AKMでは出身行と取引のある企業の相談に乗ったり、その提携先を探したりしている。

児島さんによると、京都拠点の上場企業70社前後のうち2割程度はインドに進出済み。残りも進出を検討中で、上場していない中小企業も続く見込みだ。直近では半導体製造装置メーカーをはじめ、幅広い業種から同国市場に関する相談を受けているという。

盛り上がりを背景に京都銀は来年以降、駐在員事務所を地銀として初めてインドに設立する予定だ。「片足だけでなく両足を突っ込み、取引先に付加価値の高いサポートを提供する」と力を込めた。

昨年6月にAKMに加わった八十二長野銀行の天道雅典さんは、自らの派遣を「取引先との関係強化の武器」と表現。現地法人を設立していないため融資業務はできないが、取引先が将来進出した際には「入り口から一緒に関わりたい」と期待をかける。「海外案件というだけでメガバンクに顧客を奪われてしまう。それを防ぐ『ディフェンス』でもある」と、進出先でも顧客と密着する必要性を強調する。

◇半歩先を

「コロナ禍で進出の動きが遅れていた。嗅覚ある地銀が出てきている」。滋賀銀行から南部ベンガルールの日系コンサルタント会社に出向している上松優真さんはそう分析する。滋賀県関連企業のインド進出は20社程度。それでも地元でセミナーを開けば定員を上回る参加があり、熱量は高いという。「お客さまの半歩先を行く気持ちだ」と将来を見据える。

福岡銀行は今月1日付でニューデリーのコンサルに、北陸銀行と広島銀行がそれぞれ10月と11月に会計コンサルとベンチャー向けファンドに人員を派遣。関西みらい銀行は来年1月に国際協力銀行(JBIC)ニューデリー駐在員事務所に出向させる。さらに来年4月には常陽銀行、福井銀行、あいち銀行の3行が日本貿易振興機構(ジェトロ)のインド各地の事務所に人を送り込む計画だ。

インド法務に詳しい御堂筋法律事務所の石井洋輔弁護士は「地方の中小企業が進出できるかどうかの鍵は、信頼関係を築いている地銀が握る」と話す。ただ、日系企業が合弁会社を設立するにはインド企業との粘り強い交渉が求められるという。「日本の優れた技術は活用したいが、譲歩は最小限にしたい」。そんなインド企業の本音が透けて見えると話した。

【時事通信社】 〔写真説明〕インド・ニューデリー近郊の会計事務所「AKM

Global」に出向している京都銀行の児島健太郎さん(中央)、八十二長野銀行の天道雅典さん(右)と横浜銀行の尾崎靖さん=8月12日 〔写真説明〕滋賀銀行からインド南部ベンガルールの日系コンサルタント会社に出向している上松優真さん=8月7日 〔写真説明〕石井洋輔弁護士=3日、ニューデリー

2026年09月09日 07時20分


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