
経営再建中の日産自動車は今年度、国内外で新型車の発売を加速させ、低迷する新車販売の反転攻勢のきっかけにしたい考えだ。国内では、高級ミニバン「エルグランド」など5車種の新型車を投入。米国では、需要が高まっているハイブリッド車(HV)を打ち出す予定だ。ただ、中東情勢の緊迫化による輸出停滞や原材料高への懸念が影を落としている。
日産は昨年5月打ち出したリストラ計画で、国内外の車両工場7カ所の削減などにより、5000億円のコストを削減すると表明。これまでに2000億円の固定費削減を実現するなど、リストラには一定のメドを付けた。イバン・エスピノーサ社長は「スピード感をもって進めている。この1年で劇的に変化した」と胸を張る。
反転へカギを握るのが、「売れるクルマ」の投入だ。日産は、新型車投入の遅れや経営難によるブランド力の毀損(きそん)によって、客足が遠のき、販売不振に陥った。2025年度の新車販売台数は、前年度比5.8%減の315万台にとどまり、目標未達に終わった。特に国内は13.5%減と深刻だ。
日産は今年度、国内外で新型車ラッシュを演出する構え。国内では、今夏のエルグランドを皮切りに、人気の多目的スポーツ車(SUV)「キックス」やスポーツセダン「スカイライン」の発売を控える。主力の米国では、独自のHV技術を搭載したSUV「ローグ」を売り出す。中国でも新型電気自動車(EV)を計画する。
ただ、国内で需要が大きい小型車の新モデルは、28年度以降になる見通し。中国では昨年度、新型EV「N7」が一定の成果を示したが、販売台数全体を押し上げるには至っていない。
また、中東情勢の緊迫化により、中東向けの輸出が停滞。今年度上期だけで、1万9000台程度が影響を受けると見込む。さらに原油由来の原材料価格の高騰も加わり、150億円の営業利益の押し下げ要因となる。中東での軍事的緊張が長期化すれば、収益は一段と圧迫される。
エスピノーサ氏は、新型車の投入によって「ブランド力を改善させる。顧客からの信頼を構築するために必要だ」と強調するが、先行きの不安材料は少なくない。
〔写真説明〕2025年度通期決算発表記者会見で発言する日産自動車のイバン・エスピノーサ社長=13日午後、横浜市西区
2026年05月14日 12時39分