日本の社会保障、岐路に=財源5兆円見通し立たず―消費減税



政府は食料品の消費税率を来年4月から1%に引き下げることを決めた。中・低所得者への1%相当分の給付も開始し、財政負担は年間で計約5兆円に上る見通しだ。消費税収は年金や医療などの社会保障費を支える重要財源だが、減収分を手当てする具体策はまだ見えない。深刻化する日本の社会保障は、岐路に立たされている。

「社会保障にも影響が出ないようにしっかりと対応する」。高市早苗首相は5日、記者団の取材に応じ、こう強調した。

財源としては、外国為替資金特別会計(外為特会)の剰余金や日銀が利益の一部を国庫に納める納付金などの税外収入が挙がる。片山さつき財務相は同日、「さらなる歳入確保の取り組みをゼロベースで進める」と指摘。租税特別措置や補助金などの歳出も見直し、「予算編成改革を通じ必要な財政需要に対応する」と語った。

ただ、外為特会の剰余金の一部は防衛力強化に向けた財源に活用されることが決まっており、為替動向にも左右される。日銀納付金とともに使途の広い一般会計に計上され、社会保障財源を全額穴埋めするのは難しいのが実情だ。

今回の減税と給付措置は、2029年度に本格導入する所得連動給付の「つなぎ」の位置付け。しかし、2年後に消費税率を元に戻せるのか懸念の声は強い。消費税に代わる恒久財源を探そうにも、その確保は一段の難路となる。

政府試算によると、減税対象となる食料品の消費税負担額は、年収200万円以下で年4.6万円、1500万円以上で8.8万円。消費額の大きい高所得者ほど減税効果が大きくなる「逆進性」も浮き彫りになっているが、この問題も置き去りのままだ。

片山財務相は、財源具体化には来年度予算編成のめどが立つ今年12月までかかるとの見通しを示した。その上で、市場の動揺を抑えるため、「市場との対話を今まで以上に考えたい」と述べた。

〔写真説明〕記者団の取材に応じる片山さつき財務相(手前)=5日午後、東京都千代田区

2026年08月06日 07時23分


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