
株高基調が続く中、個人の投資熱が高まっている。日経平均株価は6月に7万2000円超まで上昇。証券会社には連日、投資家から多くの買い注文が集まる。ただ、こうした動きが続けば投資に積極的な人と消極的な人との資産格差は広がる一方で、金融教育を通じた投資家の裾野拡大が課題となりそうだ。
「インフレ対策で去年から株式投資を始めた。株高が続くのか、専門家の話を聞きに来た」。楽天証券が7月に横浜市内で開いた投資イベントで、来場した30代の男性会社員はこう話した。
訪れたのは子ども連れから高齢者まで約4500人。お目当ては株式投資に詳しいインフルエンサーだ。著名トレーダーのテスタ氏や、ストラテジストの大川智宏氏らが登壇するトークセッションは立ち見が出るほどの人気ぶりだった。
総務省の家計調査によると、2025年の家計の金融資産(2059万円)に占める株式と投資信託の割合は19.3%。投資を促す政府・証券業界の取り組みや新たな少額投資非課税制度(NISA)の効果で、20年(11.3%)と比べると明らかに拡大した。
だが、投資に消極的な個人もまだ多く、金融資産に占める貯金の割合は59.3%と半分を超える。第一ライフ資産運用経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「幅広い意味でバブルの後遺症が続いていて、『株は危険』という印象が強い」と指摘する。
株高が進めば、株式などを多く保有する富裕層ほど恩恵を受け、資産格差が一段と広がりやすい。年収最上位層の株式・投信保有額は20年に335万円だったが、25年には701万円と倍増。これに対して最下位層では118万円から180万円と5割の増加にとどまっている。
地域間格差が広がる恐れもある。金融資産に占める株式と投信の割合は大都市(22.8%)ほど高く、小都市や町村(11.7%)との差が目立つ。藤代氏は「物価高の一方で賃金も上がっているが、その影響が届かない地方の高齢者ほどインフレに強い株式の恩恵を受けるべきだ」と述べ、投資の必要性を訴えている。
〔写真説明〕楽天証券が開いた投資イベントのトークセッション会場=7月12日、横浜市
2026年08月31日 20時30分