
1日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時、3.000%に上昇(債券価格は下落)した。日本相互証券によると、1996年10月以来、約30年ぶりの高水準。高市政権による財政拡張への警戒感や、日銀が利上げペースを速めるとの観測を背景に、債券を売る動きが強まっている。
長期金利は景気や物価に対する市場の見方を映して変動し、「経済の体温計」と呼ばれる。個人向けの固定金利型住宅ローンや企業の長期借入金利に影響を及ぼす。
財務省は8月末、2027年度予算の概算要求を締め切った。各省庁からの要求総額は過去最大の143兆円超に達する見通し。要求の上限を設けない投資枠の創設や、国債の利払い費増大などで規模が膨張。食料品の消費税減税に必要な財源が不明確なこともあり、財政規律の悪化で国債の発行が増えるとの見方から債券が売られている。市場関係者は「財政拡張にまい進する高市政権に対し、買い向かう投資家はいない」(外資系資産運用会社)と話す。
中東情勢の緊張緩和が見通せない中、原油価格の高止まりによるインフレ高進への懸念も根強い。市場は、日銀が9月の金融政策決定会合で約3カ月ぶりに利上げを行うことをおおむね織り込んでいる。従来は半年に一度の利上げを予想する声が多かったが、インフレ抑制に向けて頻度が高まるとの観測が広がり、長期金利を押し上げた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利上げに踏み切るとの思惑から、米国で長期金利が急伸し、日本に波及した面もある。市場では「長期金利は年内に3.3%程度まで上昇する可能性がある」(国内証券)との見方が出ている。
〔写真説明〕約30年ぶりに3.0%に上昇した長期金利を示すモニター=1日午後、東京都中央区
2026年09月01日 17時14分