
1990年代後半、経営危機に陥った創業間もない米半導体大手エヌビディアの救済に奔走したゲーム大手セガ・エンタープライゼス(現セガ)の元社長、入交昭一郎氏(86)が時事通信のインタビューに応じた。上層部を説得してエヌビディアに500万ドル(当時の為替レートで約4億2500万円)もの金額を投じた理由について、「ジェンスン・フアン(最高経営責任者)という人間を気に入り、全てを賭けた」と振り返った。
セガは当時、ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション」に対抗すべく、次世代機「ドリームキャスト」のGPU(画像処理半導体)開発をエヌビディアに委託。だが、同社は失敗し米国法人トップだった入交氏が契約打ち切りを伝えた。
「破産してしまう」と窮状を訴えるフアン氏について、入交氏は「正直で情熱があり、知識も豊富。業界からいなくなるにはもったいないと思った」という。残った開発費でエヌビディア株を購入する案を「手切れ金だと思ってほしい」と本社に提示し、説得に成功した。
エヌビディアはその後、失敗の教訓を生かして開発手法を転換し、97年に初のヒット作となるGPUを発売。近年、生成AIブームによる需要の急拡大を受けて時価総額世界首位を争う企業へ成長する礎を築いた。一方、社長に就任した入交氏はドリームキャストを発売したが苦戦し、2000年に副会長へ退いた。
入交氏は現在、個人事務所で経営コンサルティング業を営んでいるが、フアン氏とは交流が続き、今年7月には東京・秋葉原で開かれたエヌビディアとセガの関係を記念するイベントにも参加した。入交氏は「成功しても義理を忘れないのが彼らしい」と話した。
〔写真説明〕インタビューに応じる元セガ社長の入交昭一郎氏=8月25日、東京都中央区
〔写真説明〕インタビューに応じる元セガ社長の入交昭一郎氏=8月25日、東京都中央区
2026年09月12日 07時09分