
木原稔官房長官(57)は17日にも発足する第2次高市改造内閣で続投する方向だ。高市早苗首相の信頼が厚い「無二の側近」(首相官邸幹部)として政権内で影響力を高める一方、自民党側では、官邸との橋渡し役としての力量に不満もくすぶる。政権安定に向け、党との連携が課題となる。
「2021年(自民党)総裁選で首相が負けた時、『一緒に官邸に行こう』と言われた。あの時の約束を果たしていただいた」。木原氏は10日、東京都内で行われた内外情勢調査会での講演で、官房長官に就任した経緯を解説した。
木原氏は旧茂木派出身。日本台湾友好議員連盟や議員グループ「創生日本」の事務局長を務めるなど、保守的な信条を首相と共有していた。21年総裁選では、安倍晋三元首相の依頼で高市陣営に「出向」(木原氏)する形で加わり、首相との距離が縮まった。
25年総裁選では茂木敏充外相を支援したが、勝利した高市氏から「手伝ってほしい」との声が掛かった。政権発足に向け、衆院議員宿舎などで日本維新の会の藤田文武共同代表らと「作戦会議」を重ね、連立政権合意を取りまとめた。
特別国会では、国家情報局設置や皇室典範改正など「高市印」の政策実現に貢献した。17日にも予定される内閣改造に当たっては、首相の求めに応じ、各議員の政権への協力度などを記した「えんま帳」を提出。首相はこれを参考に人選を進めているとみられる。自民中堅は「首相が人事の相談をするのは麻生太郎副総裁と木原氏くらいだ」と語る。
一方、自民議員からは「木原氏に首相への伝言を頼んでも伝えてくれない」との声が相次ぐ。こうした不満が表面化したのが先の特別国会での国会運営だった。
1月の衆院解散の影響で26年度予算の年度内成立が絶望的となった3月末になっても、木原氏は年度内成立にこだわる首相の立場を優先。国会終盤では、野党が首相の予算委員会出席を求めて審議を拒否しても、出席に後ろ向きな首相を説得できなかった。この結果、当初の会期末の直前になって会期延長を余儀なくされ、政府関係者は「国会音痴だ」と酷評した。
首相に近い自民中堅からも「耳が痛いことを首相に言える人が官邸にいない。ワンマンのままでは次の総裁選は危うい」との声が漏れる。首相との強固な信頼関係を築いた木原氏。内閣の要として与党との調整役を担えるかが、今後の国会運営で問われることになる。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する木原稔官房長官=10日午後、首相官邸
〔写真説明〕内外情勢調査会で講演する木原稔官房長官=10日午後、東京都千代田区
2026年09月11日 07時07分