【エルサレム時事】イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの人道支援物資の搬入を阻止する中、ガザ住民に配給される食料の不足が深刻化している。国連世界食糧計画(WFP)は27日の声明で「検問所閉鎖で食料備蓄量が減少しており、ガザの数十万人が再び深刻な飢餓や栄養失調に見舞われる恐れがある」と危機感を表明した。
WFPによると、ガザに現在貯蔵されている食料は「最大2週間分」に相当する約5700トン。中でもパンを作るための小麦粉は、80万人が消費するとして5日間しか持たないという。イスラエルが18日にガザへの大規模攻撃を再開後、食品や調理用ガスの価格が急騰したことも、現地の食料事情悪化に拍車を掛けている。
WFPは「国連職員の安全が脅かされる事案が増加し、移動も厳しく制限されているため、食料配給活動に重大な支障が出ている」と指摘。住民のニーズを最優先するとともに、国連や人道支援関係者を保護し、ガザへの物資搬入を即時再開するよう訴えた。
ガザ停戦合意の第1段階が1日に期限を迎えた後、恒久停戦を見据えた「第2段階」入りを巡る交渉は難航している。イスラエルによる大規模攻撃の再開以降、ガザ当局の集計では855人が死亡。停戦は事実上崩壊した形だ。
AFP通信によると、停戦交渉で仲介役を務めるエジプトとカタールの担当者は27日、カタールの首都ドーハでイスラム組織ハマスとの協議を始めた。戦闘休止やハマスが拘束する人質のさらなる解放のほか、人道支援物資のガザ搬入について議論しているとみられるが、ハマスに近い関係筋は「これまでのところ、突破口は開けていない」と話している。
〔写真説明〕停戦を求めるパレスチナ自治区ガザの住民=25日、北部ベイトラヒヤ(AFP時事)
2025年03月31日 12時40分