ニホンジカ、50年には全国へ=イノシシも、分布予測で―農工大など



東京農工大や森林総合研究所などの研究チームが野生のニホンジカとイノシシの分布状況を予測したところ、いずれも2050年までに都市部を除く日本の大部分に広がる可能性が高いとの結果が出た。従来、生息数が比較的少なかった東北地方などでも定着する恐れがあり、担当者は対策の必要性を訴えている。論文は2月、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

環境省によると、2022年度末時点のニホンジカ(本州以南)とイノシシの推定個体数は約246万頭と約78万頭。いずれも徐々に生息域を広げており、18年度までの約40年間でそれぞれ約2.7倍と約1.9倍になった。

研究チームは、1978、2003、14年の分布データを基に、繁殖を伴う移動・分散能力や気候、土地利用などの要因を考慮したシミュレーションを実施。50年と2100年の分布状況を予測した。

その結果、いずれも50年までに、生息数が少ないとされる青森、秋田両県などでも拡大する可能性が示された。また、さまざまな要因の中で、両種が持つ移動・分散能力が最も強く影響していたという。

大阪府内の市街地では3月、奈良県から移動してきた可能性のあるシカの目撃情報が相次ぎ、大阪市の住宅街で1頭が捕獲されるなどの騒ぎとなった。

研究チームの東京農工大の諸澤崇裕講師(野生動物管理学)は「近年、関東平野でも河川などでシカの確認事例が増えている。対策が不十分のまま分布拡大が続けば、都市部に向かって生息域が広がる可能性もある」と指摘。予測を基にした事前対策が重要だとしている。

〔写真説明〕気候変動がより進んだ場合のニホンジカ(左)とイノシシの将来分布(東京農工大・諸澤崇裕講師提供) 〔写真説明〕大阪市都島区の公園に現れたシカ。その後捕獲された=3月22日

2026年04月13日 14時36分


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