
北海道・知床半島沖で2022年、観光船「KAZU
I(カズワン)」の乗客乗員計26人が死亡・行方不明となった沈没事故で、業務上過失致死罪に問われた運航会社「知床遊覧船」(斜里町)社長、桂田精一被告(62)の判決が17日、釧路地裁であった。水越壮夫裁判長は「事故は容易に予見できた」と述べ、求刑通り禁錮5年を言い渡した。無罪を主張していた弁護側は即日控訴した。
公判では操船に関与しない桂田被告が事故を予見できたかどうかが最大の争点だった。出航判断や運航コースに対する認識を巡り、双方の主張が対立した。
判決は沈没の経緯について、ハッチが閉まらない不具合があり、荒天により船体が動揺したことで海水が流入したと指摘。一方で、事故の直接的な原因は、強風や高波が予想される中で運航したことだと認定した。
事故当日の午後は運航基準を明らかに超える強風と高波が予想され、同業他社も午後の航行は中止するようカズワンの船長に伝えていたことから、「乗客の安全に危険が及ぶと容易に予見できた」と判断。被告は運航管理者の立場にあり、気象情報を把握して船長に運航中止を指示すべき義務があったのに怠ったとした。
船長と協議した上で通常よりも短いコースで運航する認識だったなどとする被告の公判での供述については、「不自然、不合理で到底信用できない」と退けた。
その上で、出航中止の指示は容易にでき、被告の注意義務違反の程度は重いと非難。いまだ発見されていない6人を含む26人の尊い命が犠牲になった結果はこの上なく重大で、「法定刑の上限に当たる刑をもって臨むほかない」とした。
判決によると、桂田被告は22年4月23日、悪天候で死傷事故が起きる危険性を予見できたのに、出航や航行中止を指示する義務を怠り、カズワンを沈没させた。
〔写真説明〕「知床遊覧船」社長、桂田精一被告の判決公判が行われる釧路地裁の法廷=17日午前、北海道釧路市(代表撮影)
〔写真説明〕釧路地裁に入る「知床遊覧船」社長の桂田精一被告=17日午前、北海道釧路市
〔写真説明〕観光船「KAZU
I(カズワン)」=2022年4月(知床遊覧船ホームページより)
2026年06月17日 17時56分