マラソンと競歩、カギ握る暑熱対策=世界新生んだ「胃腸トレ」も―アジア大会



暑さの中での開催が懸念される愛知・名古屋アジア大会。陸上のマラソンと競歩は、暑熱対策が勝負を分けるかもしれない。日本陸連科学委員会は代表選手の汗の成分を分析し、個別に対策を助言。最新の情報も提供し、強力にサポートしている。

科学委員会の委員長で日体大教授の杉田正明氏は5月末、マラソン代表選手やコーチを対象にミーティングを実施。4月のロンドン・マラソン男子で1時間59分30秒の世界新記録を樹立したセバスティアンキマル・サウェ(ケニア)の事例を紹介した。

サウェはレース中にバナナ約10本分相当の糖質を補給。常識を大幅に上回る量で、普段の練習中から多くの糖質を吸収できるように体を慣らす「胃腸トレーニング」に励んでいた。杉田氏は「糖質を最後まで吸収できる体づくりをしておけば、暑さで糖分が使われても体が持つ。暑熱対策はエネルギー供給との闘いでもある」と説明する。

競歩選手の汗を採取した6月の暑熱対策研修合宿では、気温20度、湿度91%の環境下で、練習中に深部体温が高く上昇した選手が複数いた。原因として注目されたのが、空気中の水蒸気が水滴になり始める温度の「露点」。気温がそれほど高くなくても湿度が高いと露点も高くなり、汗が蒸発しにくく熱が体内にこもる。暑さ指数(WBGT)と同様に重要な指標と捉え、汗を拭うなどの有効な対策を伝えた。

杉田氏は暑さに慣れる「暑熱順化」と、大会直前のコンディション調整がカギを握ると指摘。「暑熱対策は勝つための戦略の一つ。選手にはベストな状態でスタートラインに立ち、自国開催の舞台で最高の成績を残してほしい」と躍進を期待した。

【時事通信社】 〔写真説明〕アジア大会での暑熱対策について語る日本陸連科学委員会の杉田正明委員長=8月12日、東京都中央区

2026年09月09日 14時31分


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