バリアフリー、意識も変化を=アジアパラ大会契機に



愛知・名古屋アジアパラ大会に向け、関係者は宿泊施設のバリアフリー化や車いす利用者らを受け入れる準備を整えてきた。障害者団体の事務局長を務め、車いすで生活する入谷忠宏さんは、一連の取り組みについて「ハード面とソフト面、意識の三つがあってこそ」と強調する。

「瑞穂アーバンホテル」(名古屋市瑞穂区)では市の補助金を活用し、朝食会場にある和式トイレ1基をバリアフリートイレに改修。ビュッフェカウンターのテーブルも見直し、車いす利用者が料理を取りやすいデザインに変更した。甲村博子代表取締役は「競技会場から近いホテルなので、何か大会に貢献できることはないかと思っていた。障害者だけでなく、普段利用するお客さまにとってもいい空間になった」と語る。

「名古屋マリオットアソシアホテル」(名古屋市中村区)は、ソフト面にも力を入れる。高齢者を含めた接客対応を学ぶ「ユニバーサルマナー研修」を24回実施。スタッフが実際に車いすに乗り、レストランや客室で利用者の目線を体験した。

「ユニバーサルマナー検定」1級を持ち、講師を務めた市川正和さんは「威圧感が出ないよう、お客さまの正面には立たない」「目線を合わせる」など、車いす利用者と話す際のポイントを伝えた。市川さんは「みんな、あやふやな声掛けしかできていなかった。大会後を見据えても、勉強するいい機会だ。通常のサービスとして続けていきたい」と先も見据える。

宿泊施設のみにとどまらない。競技会場周辺では点字ブロックが新設され、大会メイン会場となるパロマ瑞穂スタジアムの最寄り駅には、車いすが3台同時に入れる大きさのエレベーターが設置された。

大会を契機とした街の変化に、入谷さんは「昔と比べてだいぶ住みやすくなってきた。環境が変われば(障害を持つ人も)社会参加できる」と語る。その上で「足りないところは意識。『障害者だから』ではなく『人として困っている』と、目線をフラットにしてほしい」。人々の意識の変化が、共生社会の実現につながっていく。

【時事通信社】 〔写真説明〕車いすが最大3台同時に入る大きさのエレベーターに乗る入谷忠宏さん(手前右)=8月29日、名古屋市瑞穂区 〔写真説明〕ユニバーサルマナー研修で、車いすの目線に合わせた接客を実践するホテルスタッフ=8月25日、名古屋市中村区

2026年10月16日 07時11分


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