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輪島塗の老舗、全工程再開=「何年でも待っています」―手紙回し読み、支えに・能登地震



能登半島地震で大きな被害を受け、休業していた輪島塗の老舗工房「輪島屋善仁(ぜんに)」(石川県輪島市)が仮復旧し、全工程で制作を再開した。職人の半数以上は市外に避難したままだが、9代目当主で社長の中室耕二郎さん(50)は「全国から寄せられた声援に背中を押してもらった」と振り返る。

創業200年以上の歴史を持つ輪島屋善仁は、124ある工程の全てを1社で行う。統括する川越康さん(59)の下、9人の職人が制作を続けてきたが、元日の地震で工房が損壊。倉庫2棟も倒壊し、漆器約5000点が失われた。被害額はおよそ2億円。職人5人は現在も市外に避難し、地元に戻るめどは立っていないという。

「復旧頑張ってください。何年でも待っています」。地震の2日後、常連客の一人からメールが届いた。励ましの手紙やメールはその後も続々と寄せられ、1000通を超えた。一通、一通、職人らと回し読みしたといい、中室さんと川越さんは「背中を押してもらった」と口をそろえる。

中室さんはメールが届いたその日に、工房に避難していた職人と2人で片付けを始め、川越さんや他の職人も作業に加わった。「職人の技術を守らなければ」「励ましに応えなければ」との思いだったという。

2月から漆を再調合し、被害を免れた本社展示場の一角に仮設の工房を設け、3月中旬から一部工程で再開した。約3カ月ぶりに工房の椅子に座ったという塗り職人の戸前宏治さん(50)は「漆の香りを嗅ぐのは久しぶり。良い作品を作ることが自分にできることだ」と力を込めた。

4月10日には、ちり一つない環境下で細心の注意が必要となる最終工程の「上塗り」を再開。この間、クラウドファンディングで約2000万円が集まった。中室さんは「全面再開は一つの節目。恩返しができるよう日々努めたい」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕地震で倒壊した輪島屋善仁の倉庫と川越康さん=3月27日、石川県輪島市 〔写真説明〕仮工房で制作を再開した塗り職人の戸前宏治さん=3月28日、石川県輪島市

2024年04月12日 07時08分


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