横浜市の土地所有者に成り済まし、売買代金をだまし取ったなどとして、警視庁捜査2課は16日までに、偽造有印公文書行使と詐欺の疑いで、住居職業不詳倉石三夫容疑者(71)を逮捕した。所有者をかたって土地を売買する「地面師」グループの中心メンバーで、「土地が売りに出されている」とうその情報を流す仲介役だったとみられる。認否は明らかにしていない。
逮捕容疑は2013年12月中旬ごろ、横浜市都筑区富士見が丘の約800平方メートルの土地について、所有者の50代男性に成り済まし、売買代金名目で、東京都内の不動産会社から現金と小切手計1億2300万円をだまし取った疑い。
同課によると、倉石容疑者らは印鑑証明書の印影部分を削り取るなどして、書類を偽造していた。不動産会社との契約交渉に当たっては、本当の所有者に見せ掛けるため、土地の景観や周辺状況などを細かく予習。「12月中に決済をしたい」と交渉を急がせていた。
所有者の男性が不審な土地取引の情報が流れていることを知り、不正登記防止の届け出を法務局に提出。契約締結後、不動産会社が土地の所有権の移転登記をしようとしてだまされたことに気付いた。
倉石容疑者は取り分として3000万円以上を受け取ったとみられる。19年6月、グループのメンバーが別の事件で逮捕される直前にフィリピンに逃亡。今月15日に成田空港に帰国したところを逮捕された。
【時事通信社】
〔写真説明〕詐欺容疑などで逮捕された「地面師」メンバー、倉石三夫容疑者(中央)=15日午後、東京都渋谷区の警視庁渋谷署
2024年11月16日 12時39分