立憲民主党、日本維新の会は来年夏の参院選に向け、全国に32ある「1人区」で候補一本化を模索する。立民の野田佳彦代表が調整に前向きな考えを示し、維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は候補者を絞り込むための「予備選」を提唱する。与党が過半数を割った衆院選の再現を狙い、自民党との「一騎打ち」の構図を目指すが、予備選の具体的な方法は煮詰まっていない。国民民主、共産両党など他の野党を巻き込めるかも課題だ。
「野党は一本化して、1人区で勝利を積み上げることを実現したい」。野田氏は20日の記者会見でこう強調。維新の予備選提案について「よく話を聞いてみたい」と語った。
1人区での野党候補一本化は、過去の参院選で効果を発揮してきた。安倍政権下の2016年は共産党が候補者を取り下げ、全32選挙区で自民と野党統一候補による事実上の一騎打ちとなり、野党側が11選挙区を確保。19年も旧立民、旧国民民主、共産、社民各党が全1人区で候補者を1人に絞り、10選挙区を制した。
対照的に、22年は野党系候補が1人の選挙区が11にとどまり、自民28勝を許した。
衆院選では野田氏の代表就任後に共産が積極的に擁立した。立民には参院選で共産との一本化を望む声はあるものの、実現は見通せていない。
吉村氏は「与党の過半数割れ」を最優先目標に掲げ、1月中に予備選の実施案を他党に示す方針。立民幹部は、これまで一本化に加わってこなかった維新との調整に前向きな考えを表すが、実施方法の具体像は明らかになっていない。立民関係者は「情勢調査しかないのではないか」と語る。
維新は国民民主も枠組みに入ることに期待感を示している。ただ、国民民主が擁立を決めている1人区は長崎選挙区だけで、玉木雄一郎代表(役職停止中)は調整の必要性はないとの立場だ。
一本化が実現しても、効果的な野党共闘につながるかは不透明だ。吉村氏は立民との選挙協力を否定し、あくまで「すみ分け」が目的だと主張。立民内からは「政策面での擦り合わせがなければ一本化の意味はない」との懸念が漏れる。
【時事通信社】
〔写真説明〕立憲民主党の野田佳彦代表(左)と日本維新の会の吉村洋文代表
2024年12月31日 10時42分