自民、公明両党は来年夏の参院選で、与党で過半数の125議席を維持するのが最重要課題だ。衆院に続いて参院でも多数を失えば、政権運営が立ちゆかなくなる可能性があるからだ。このため、両党は10月の衆院選敗北の大きな要因となった自民派閥裏金事件に一日も早く区切りを付けたい考えだが、先行きには暗雲が垂れ込めている。
自民は仕事納めとなった27日、裏金事件の政治資金収支報告書不記載額を上回る8億円を社会福祉法人に寄付したと発表。石破茂首相(党総裁)は記者団に「けじめをきちんとつけたいと考えた。己をさらに厳しく律していきたい」と語った。
昨年12月の裏金事件表面化以来、自民は何度も幕引きを試みてきた。派閥解消を決め、関係議員を国会で弁明させ、政治資金規正法を改正。岸田文雄前首相はけじめをつけるとして総裁選出馬を断念し、石破首相は衆院を解散した。それでも、衆院選の結果は与党過半数割れの惨敗だった。
自民は参院選で二の舞いを避けるため、来年1月24日で調整する通常国会召集前に、政治倫理審査会での弁明を済ませていない旧安倍派議員18人の審査を終えたい考え。さらに3月末までに結論を出すことになっている企業・団体献金の扱いについても第三者機関に委ねる形での先送りを狙っている。
しかし、立憲民主党などは真相が究明されていないとして関係者の国会招致を辞さず、スクラムを組んで企業献金禁止を与党に迫る構えも見せている。都議会自民党のパーティー券収入不記載疑惑もくすぶっており、幕引きは見通せない。自民重鎮は「幕引きには程遠い」と語った。
「裏金候補」の公認問題も完全に決着したわけではない。参院選出馬が予想される自民議員のうち、「裏金議員」は14人。衆院選の際に首相が公認基準として(1)政倫審に出席したか(2)地元の理解は進んでいるか―などを挙げたため、いずれの議員も政倫審に出席する意向を示した。ただ、実際に公認を得ているのは12人だ。
一方、衆院選で8議席減の大敗を喫した公明にとっては、参院選での改選14議席の減少を最小限にとどめることが最優先課題。党内では「裏金候補」30人超を推薦したことが衆院選の敗因との見方が大勢で、「痛い目にあった。参院選で自民候補を推薦するかどうかは分からない」(中堅)との声も出ている。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者団の質問に答える石破茂首相=27日、首相官邸
2024年12月31日 08時00分