石破茂首相は1日の記者会見で、物価高対策などを矢継ぎ早に訴えた。夏の参院選を前に内閣支持率は下落し、局面転換を図る狙いがある。だが、野党は攻勢を強め、与党内からも政権批判の声が漏れる。首相は忍耐を強いられる場面が続きそうだ。
「改めて深くおわび申し上げる。国民の感覚から懸け離れたことは率直に認めなければならない」。会見冒頭、首相は自身の商品券配布問題について陳謝し、こう語った。
2025年度予算の年度内成立を受けた会見だったが、謝罪の言葉で始めるのは異例と言える。3月31日午後も報道各社のインタビューに応じており、少数与党で綱渡りの政権運営が続く中、国民に謙虚な姿勢をアピールしたい思いもあるようだ。
会見では、物価高対策に重点を置き、コメ価格の高騰を受け、政府備蓄米の放出に関し「必要であれば、ちゅうちょすることなくさらに対応する」と強調。ガソリン1リットル当たり185円程度に抑えるため石油元売り会社に支給している補助金を継続すると表明した。
賃上げは「成長戦略の要だ」と位置付け、5月までに最低賃金の引き上げに向けた対策をまとめると指摘。中小・小規模事業者支援のため、省力化投資促進プランを5月に、経営基盤強化に関する新たな政策パッケージを6月にそれぞれ策定する考えも示した。
首相は25年度予算が参院で審議中にもかかわらず、「強力な物価高対策」を打ち出す意向を示し、与野党から批判を浴び、参院予算委員会で陳謝していた。そんな首相が1日の会見で、物価高対策を訴えた。国民生活に身近な問題で対策を講じることで、参院選に向けて潮目を変えたいとの思いがにじむ。
しかし、対策の実行で予算措置が伴う場合、25年度補正予算案の編成が必要となる可能性がある。衆院で過半数割れしている現状では、野党の協力が不可欠で先行きは見通せない。
後半国会で、野党は首相に揺さぶりをかける構えだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は会見で、物価高対策として「引き続き消費税の(時限的)減税を求めていく」と主張。立憲民主党の笠浩史国対委員長は党会合で、「『政治とカネ』の問題追及を続け、企業・団体献金の禁止を何としても実現する」と檄(げき)を飛ばした。
参院選や東京都議選を控え、与党内には支持率が下落する首相への不満が広がる。公明ベテランは首相が打ち出した数々の対策を受け、「これが『強力な物価高対策』なのか」と嘆息。自民党の松山政司参院幹事長は会見で、「食料品をはじめ、国民に寄り添った政策をしっかり打ち出していくことが必要だ」と注文を付けた。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する石破茂首相=1日午前、首相官邸(代表撮影)
〔写真説明〕記者会見する石破茂首相=1日午前、首相官邸
2025年04月02日 07時06分