事故から6年、思い出の自宅へ=部屋改装も「2人忘れない」―遺族の松永さん・池袋暴走



2019年に東京・池袋で乗用車が暴走し、松永真菜さん=当時(31)=と娘の莉子ちゃん=同(3)=が死亡した事故は、19日で発生から6年を迎えた。夫の拓也さん(38)は今月、事故以来、身を寄せていた実家を離れた。3人の思い出が色濃く残る自宅を改装し、悲しみを和らげつつ前を向き暮らすと決めた。

昨年10月、事故を起こした飯塚幸三元受刑者=当時(93)=が収監中に死去した。拓也さんは「池袋暴走事故が転換点を迎えた気がした」と振り返る。事故後、「一人になると精神的につらい」と始めた実家暮らしに区切りを付け、かつて妻子と過ごした自宅に戻った。

「3人で一緒に過ごした場所だから住み続けたいと思っていた」と拓也さん。ただ、当時のままの自宅にいると、キッチンで料理する真菜さんや、おもちゃで遊ぶ莉子ちゃんの姿がどうしても浮かび上がってしまった。

真菜さんと一緒に買いに行った家具、莉子ちゃんが着ていた洋服。思い出がよみがえり、悲しみに襲われる。拓也さんは「僕が悲しむことを、真菜も莉子も望むだろうか」と考えた。壁紙を貼り替え、家具や家電も全て買い替えた。

改装に当たっては北欧風のデザインを自分なりに意識した。沖縄で海の近くに家を買い、北欧風カフェを営むのが真菜さんの夢だったからだ。事故がなければ3人で沖縄に移住する予定だった。模様替えを終えた部屋で拓也さんは「真菜ほどのセンスはないけど、褒めてくれるかな」とほほ笑む。

部屋にあの頃の面影はほとんどない。大事なアルバムなどはクローゼットにしまい、見返したいときに思い出を振り返ることができるようにした。2人を忘れたいわけではない。「ずっと愛している。絶対に一生忘れることはないです」。

【時事通信社】 〔写真説明〕改装した自宅で取材に応じる池袋暴走事故の遺族、松永拓也さん=13日、東京都内

2025年04月19日 13時34分


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