大相撲で28日、横綱大の里が誕生した。日本出身の新横綱は、大の里の師匠の稀勢の里(現二所ノ関親方)以来8年ぶり。「一層、身を引き締めて頑張りたい」と意気込みを語った。
大の里にとって、親元を離れて中高6年間を過ごした新潟県糸魚川市は第二の故郷だ。退路を断つ覚悟だった。新潟・海洋高の相撲部で指導した田海哲也総監督は「何より、強くなりたい気持ちがあった」と懐かしむ。
1月の初場所後、大の里は疲れを癒やすために新潟を訪問。海洋高相撲部の寮だった「かにや旅館」でくつろいでいた折、豊昇龍の横綱昇進伝達式のニュースが目に飛び込んできた。「自分は何をしているんだろうと。すごく悔しい気持ちになった」。息抜きをしている場合ではなくなった。
思い出が詰まった能生の海辺。自らの礎を築いたゆかりの場所にいたからこそ、情けなさを強く感じた。「僕に火を付け、本当にエンジンがかかった瞬間、場面として今でも覚えている」。これが後の綱とりにつながる。24歳の大器を発奮させたのは新潟の地だった。
伝達式で教え子の晴れ姿を見た田海総監督は「目から汗が出ないように、と思っていた」と感無量の様子。大の里は事前に連絡なく、思い立って訪れることが多いという。「これからも、新潟にはどんな時でも帰って来られるような環境をつくってあげたい」。最高位を担う重圧は計り知れない。それでも大の里には、自分を見詰め直す特別な場所がある。
【時事通信社】
〔写真説明〕横綱昇進の伝達式を終え、記者会見する大の里=28日、茨城県阿見町の二所ノ関部屋
〔写真説明〕新潟・海洋高相撲部の田海哲也総監督(左)と撮影に応じる大の里=28日、茨城県阿見町の二所ノ関部屋
2025年05月28日 20時32分