デイカス新体制、荒波の船出=セブン&アイの株主総会



セブン&アイ・ホールディングス(HD)の株主総会が27日開かれ、スティーブン・ヘイズ・デイカス新社長らを中心とする新たな経営体制が承認された。不振が続く業績の立て直しを急ぎつつ、カナダのコンビニ大手からの買収提案にも対応を迫られる荒波の船出となる。

「流通業は『変化対応業』でなければならないのに打ち手が遅れた。大変ふがいない」。9年間にわたり経営を主導してきた井阪隆一前社長は総会でこう語り、悔しさをにじませた。

同社の業績は、世界的な物価の高騰で消費者の節約志向が高まる中、稼ぎ頭だった海外コンビニ事業が急減速。2025年2月期まで2期連続の減益となるなど苦戦が続いている。

最大の悩みの種は昨年7月にカナダのアリマンタシォン・クシュタールから受けた買収提案だ。同社はセブン&アイの時価総額を2割以上上回る7兆円規模の買収額を提示している。同11月に買収提案への対抗策として、セブン&アイの創業家による買収案が浮上したが、巨額の資金調達がままならず計画は頓挫(とんざ)した。

今年3月には初の外国人トップとなるデイカス氏の起用を決定。26年下半期までに北米事業を上場させるとともに、30年度までに2兆円規模の自社株買いで株価を向上させる方針を打ち出した。

だが、総会で経営陣から具体的な成長戦略の説明はなかった。デイカス氏は自身がセブン―イレブンで働いた経験から「現場」への理解をアピール。「今までより成長できる10年になる」と自信をにじませたが、総会後に取材に応じた株主からは「抽象的な話が多く、今後の経営には期待が持てなかった」(神奈川県の60代男性)と困惑する声が聞かれた。

デイカス氏は4月の決算発表時に30年度までに3.2兆円を成長投資に振り向ける方針を表明。7月にも策定する新たな中期経営計画で投資の詳細を示すとしている。そこで株主の理解を得られる成長戦略を提示できるかが試金石となる。

【時事通信社】

2025年05月28日 07時26分

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