【シンガポール時事】中谷元防衛相は1日、フィリピンのテオドロ国防相と訪問先のシンガポールで会談した。中国が東・南シナ海で軍事活動を強める中、自衛隊と比軍の連携を一層強化することで一致した。2月の会談で創設を決めた部隊運用担当者間の「戦略的対話」の枠組みを活用する。
テオドロ氏は冒頭、対中国を念頭に「抑止力を高め、私たちが望まない行動には反対をしていかなければならない」と強調。会談では、部隊間の相互往来を容易にする円滑化協定(RAA)署名を受けた共同訓練の拡充などを確認した。
中国は尖閣諸島沖で領海侵入を繰り返し、南シナ海ではフィリピンと領有権を争う。日本は「準同盟」関係と位置付ける同国と4月の首脳会談で情報保護協定の早期締結の重要性を共有し、物品役務相互提供協定(ACSA)の締結交渉入りも確認した。こうした関係強化を通じ、米豪も含めた多国間連携の実効性を高めたい考えだ。
中谷氏はオーストラリアのマールズ副首相兼国防相とも会談。豪海軍の新型フリゲート艦導入計画について協議し、海上自衛隊の「もがみ」型護衛艦の選定を働き掛けた。「採用されれば自衛隊と豪軍の相互運用性はさらに高まり、両国にとって大きな戦略的価値がある」と訴えた。会談後、記者団に明らかにした。
【時事通信社】
〔写真説明〕会談に臨む中谷元防衛相(右手前から2人目)とフィリピンのテオドロ国防相(左手前から2人目)=1日、シンガポール
2025年06月03日 07時15分