政府が随意契約で放出した備蓄米が31日、小売店の店頭に並び、消費者の手に渡り始めた。総合スーパーのイトーヨーカ堂(東京)などが一部店舗で販売を開始し、6月1日以降、他の小売り大手にも続々と広がる。小泉進次郎農林水産相が掲げた「5キロ2000円」がわずか1週間余りで実現。今後は備蓄米以外のコメの値下がりにつながるかが焦点となる。
「イトーヨーカドー大森店」(東京都大田区)では31日、2022年産の備蓄米が5キロ税込み2160円で500袋用意された。午前10時の開店前に整理券の配布は終了し、オープンから約30分で棚は空に。生活用品大手のアイリスオーヤマ(仙台市)傘下のホームセンター「ダイシン幸町店」(同)でも即完売となった。
6月1日には流通大手のイオンやパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが展開するディスカウント店「ドン・キホーテ」の都内の店舗でも取り扱いが始まる。各社とも販売地域を順次拡大していく方針だ。政府は米穀店などの中小小売業者向けに、21年産備蓄米8万トンの放出準備も進めている。
割安な備蓄米が行き渡ることで、コメ全体の価格抑制につなげられるかが次の課題だ。農林水産省が5月26日に発表した全国のスーパーの平均価格は5キロ当たり4285円と高騰が続いている。31日に早朝から並んでコメを購入した男性は「他が3000円くらいまで下がってほしい」と備蓄米効果に期待を寄せた。
ヨーカ堂の山本哲也社長は「他のコメが下がるかどうか見通しは立たない。(今回の備蓄米を)選択肢として提供できればいい」と語った。ある卸関係者は「上限のある備蓄米でコメ相場全体を下げるのは無理だ」と指摘するなど、不透明感は漂う。
【時事通信社】
〔写真説明〕イトーヨーカドー大森店で販売が始まった備蓄米=31日午前、東京都大田区
〔写真説明〕イトーヨーカドー大森店で、開店前に並ぶ人たちに備蓄米の整理券配布を案内する看板=31日午前、東京都大田区
〔写真説明〕アイリスオーヤマ傘下のホームセンター「ダイシン幸町店」で備蓄米の店頭販売を前に、整理券を求めて並ぶ人たち=31日午前、仙台市宮城野区
〔写真説明〕アイリスオーヤマ傘下のホームセンター「ダイシン幸町店」で、備蓄米の店頭販売のため整理券を配る店員=31日午前、仙台市宮城野区
2025年05月31日 18時01分