【ワシントン時事】トランプ米政権の関税措置見直しを巡る日米交渉で、米側が日本に課している相互関税の上乗せ分について、引き下げに柔軟な姿勢を示していることが5日、分かった。ただ、日本側は自動車や鉄鋼・アルミニウムの追加関税を含む一連の措置の撤廃を一貫して求めている。両国の隔たりはなお大きく、調整は難航も予想される。
5回目の閣僚級交渉に臨む赤沢亮正経済再生担当相は同日、ワシントン近郊のダレス国際空港に到着した。赤沢氏は記者団に「貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障上の協力などについてさらに議論を深める」と強調。ただ、具体的な協議日程は「先方と協議中」と述べた。今月中旬の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた日米首脳会談での合意を視野に歩み寄りを探る。
相互関税は、米国が安全保障上の脅威に対処する国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、4月に導入した措置。一律10%の基本税率と、国・地域ごとに異なる上乗せ分で構成されるが、上乗せ分は7月9日まで90日間停止されている。
日本の上乗せ分は14%で、停止期間が終わって全面適用されれば税率は24%となり、幅広い国内産業が打撃を受ける恐れがある。
自動車なども含む関税撤廃を主張する日本に対し、米国は相互関税の上乗せ部分を主な交渉対象とする姿勢を示してきた。米側が上乗せ部分引き下げに応じても、各国一律で課される10%の基本税率部分は残るとの見方も浮上している。
日本は引き続き従来の方針を堅持する考えだが、相互関税の全面適用が迫る中、難しい判断を迫られる可能性もある。
日本は貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力などを軸に交渉を重ねてきた。具体的には、米国産車を日本に輸出しやすくするよう、安全基準面の認証制度を見直す案などを提示。輸入拡大を通じて米国の対日貿易赤字圧縮を促すことで米側の理解を得たい考えだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕5回目の日米関税交渉のため米国入りした赤沢亮正経済再生担当相=5日、ワシントン近郊のダレス国際空港
2025年06月06日 07時57分