上場企業の定時株主総会が27日、ピークを迎えた。業績を巡り会社側が陳謝し、株主から厳しい質問が飛ぶ場面も。経営陣の選任で明暗が分かれた総会もあり、アクティビストと呼ばれる「物言う株主」が存在感を見せつけた。
経営再建中のユニチカは同日、大阪市で総会を開き、祖業の繊維事業売却を説明。藤井実社長が「心配をおかけし、申し訳ない」と陳謝した。東京都内で開かれたANAホールディングス(HD)の総会では、振るわない株価を追及する声が株主から上がり、芝田浩二社長は配当水準の引き上げなど株主還元の説明を繰り返した。一方、業績が改善したシャープの総会では、沖津雅浩社長が構造改革について「着実に進展した」と強調した。
最も注目を集めたのが、ガバナンス(企業統治)不全が問われた25日のフジ・メディアHDの総会だ。大株主の米ファンド、ダルトン・インベストメンツとの委任状争奪戦になったが、新体制や改革プランが一定の評価を集め、フジ側の勝利に終わった。
経営トップの交代に発展したのは、半導体材料大手の太陽HDで、佐藤英志社長の取締役再任案が21日の総会で否決された。ただ、同社は総会後に佐藤氏が上席専務執行役員に就く人事を発表。解任を主導した株主の香港系投資ファンド、オアシス・マネジメントは「株主の総体意思をないがしろにする」と厳しく批判した。
一方、医療材料のホギメディカルは、20日の総会でダルトン系列が株主提案した取締役選任案の一部が可決され、ダルトンの最高投資責任者を社外取締役に選出した。ホギメディカルは「経営監督の強化に尽力いただける」とした。
今年は過去最多となる113社(三菱UFJ信託銀行調べ)に対して株主提案が行われた。デロイトトーマツエクイティアドバイザリー(東京)の古田温子社長は「アクティビストは株主提案を通じた企業の変化に期待しており、企業は自己変革にかじを切り、成長戦略を実行することが求められる」と述べた。
東証によると、集中日の27日には562社が総会を開催。上場企業(3月期決算)の約25%に当たるという。
【時事通信社】
〔写真説明〕ユニチカの株主総会会場=27日午前、大阪市中央区の綿業会館新館
〔写真説明〕株主総会で発言するANAホールディングス(HD)の芝田浩二社長=27日、東京都港区
〔写真説明〕シャープの定時株主総会会場に入る株主ら=27日午前、大阪府堺市
2025年06月28日 07時07分