自民党は28日、参院選大敗を受けて両院議員懇談会を党本部で開いた。石破茂首相(党総裁)は「国家国民に対し、決して政治空白を生むことがないよう責任を果たす」と続投する意向を表明。ただ、衆参両院で過半数を失ったことから首相ら執行部の責任を問う声は強く、出席者から退陣を求める声が相次いだ。
首相は冒頭、参院選について「多くの同志が議席を失い、深く心からおわび申し上げる」と陳謝した。その上で、日米関税合意に触れ「合意の着実な実行に全力を尽くし、万全を期したい」と強調。「一切偽りのない心で国家国民のために尽くす。その思いでこれから先、臨んでいきたい」と続投に理解を求めた。
森山裕幹事長は、参院選の敗因を分析して課題を洗い出すために「総括委員会」を設置し、8月中をめどに報告書をまとめると説明。「報告書がまとまった段階で自らの責任を明らかにしたい」と述べ、自身の進退を明確にする考えを示した。
懇談会は約4時間半に及び、予定の2時間を大幅に超過。約60人が意見を述べ、退陣を求める声が多かった。小林鷹之元経済安全保障担当相は「組織のトップとして責任の取り方を考えてほしい」と要請。青山繁晴氏は「衆参両院で民意が示された。すぐに辞職するべきだ」と迫った。
一方、船田元氏が「少数与党として、野党との話し合いで重要法案を通した実績を評価している」と続投を支持するなど、首相を擁護する声もあった。中曽根康隆青年局長は記者団に「進退の話はたくさん出たが、党をどう立て直すかが中心だった」との認識を示した。
首相は懇談会後、記者団から「続投方針に変わりはないか」と問われ、「ございません」と明言。報道各社の世論調査で続投支持の意見があることを念頭に「国民世論とわが党の考え方が一致することが大事だ。そういうことも総合的に踏まえて適切に判断したい」と述べた。
旧茂木派の笹川博義農林水産副大臣は記者団に、首相の責任を問う両院議員総会の開催を、29日以降に要求すると表明。森山氏はこうした動きを踏まえ、同日の役員会で早期開催を諮る考えを示した。
総会は党大会に代わる意思決定機関。ただ、懇談会で党の幹部職員は「総会で総裁の身分を決めることはできない」と説明した。
【時事通信社】
〔写真説明〕自民党両院議員懇談会であいさつする石破茂首相(中央)=28日午後、東京・永田町の同党本部
〔写真説明〕自民党本部で開かれた両院議員懇談会=28日午後、東京・永田町
〔写真説明〕自民党の両院議員懇談会を終え、記者団の取材に応じる石破茂首相(左端)=28日午後、東京・永田町の同党本部
2025年07月29日 08時02分