米、0.25%連続利下げ=雇用悪化警戒、量的引き締め停止―緩和継続「結論出ず」



【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は29日、連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げることを決めた。利下げは2会合連続。米経済は堅調さを保ち、トランプ政権の高関税政策によるインフレも懸念されるが、雇用悪化リスクに対応した。また、保有資産規模を縮小する「量的引き締め」を12月1日に停止する。

新たな政策金利は年3.75~4.00%で、2022年以来3年ぶりの低水準。決定は賛成多数だった。ミラン理事が0.5%の大幅利下げを主張する一方、カンザスシティー連邦準備銀行のシュミッド総裁が金利据え置きを訴え、それぞれ反対票を投じた。雇用とインフレへのリスク対処を巡り、FRB内の見方が割れていることが浮き彫りとなった。

パウエル議長は記者会見で、12月の次回FOMCにおける政策決定に関し、「大きな見解の相違があった」と明言。次回会合での利下げ継続については「結論から程遠い」と述べた。

今月1日から続く米政府機関の一部閉鎖により、9月の雇用統計など重要な指標が発表されていない。ただ、民間指標や企業調査を踏まえ、FRBは「ここ数カ月で雇用の下振れリスクが増大した」(FOMC声明)と判断した。

同月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.0%上昇と、伸び率は2カ月連続で拡大。「トランプ関税」の影響で加速基調が続くが、インフレは想定よりも抑制されている。

FOMCでは、量的引き締めの停止も決まった。コロナ禍による経済危機への対応で踏み切った量的金融緩和で、FRBの保有資産は一時、9兆ドル(約1400兆円)近くに膨張したが、現在は6兆6000億ドル程度に圧縮された。パウエル氏は「政策正常化の次の段階に入る」と説明した。保有資産縮小は金融引き締め効果があるとされる。

【時事通信社】 〔写真説明〕米連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見する連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=29日、ワシントン(EPA時事)

2025年10月30日 08時00分


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