「合意文書」公表は9時間後=政府、情報発信に課題―日米首脳会談



28日に行われた日米首脳会談では、米ホワイトハウスが直後に成果文書を公表した一方、日本政府の公式発表は会談終了から約9時間後と、日米の情報発信の速度に差が目立った。米側はSNSも多用した柔軟な発信に努めており、日本の広報のあり方が課題として浮かび上がった。

首脳会談は昼食会も含めて午前11時40分すぎに終了。米政府がレアアース(希土類)調達の協力などに関する合意文書を発表したのは昼食会開始前の午前11時前で、日本政府は午後9時すぎまで公表しなかった。英語版を日本語版に翻訳するため、日本の発表は常に時差が生じるが、これほどの遅れは異例だ。

米側の発信はトランプ大統領を中心とする「ワンマン」態勢。これに対し、日本側の取りまとめは外務省や経済産業省などの担当省庁に委ねられるほか、決裁に何人も責任者を通す「関門」があることが遅れの一因と言えそうだ。この日は「担当者が出払っていた」(外務省)といい、首相周辺は「各省の問題」と語った。

28日は日米首脳の共同記者会見や日本側の事務方による記者ブリーフィングもなかった。高市早苗首相はトランプ氏と訪れた米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)から首相官邸に戻った後の午後6時ごろ、記者団の取材に応じた。

政府が発信する事実関係は国内外の認知に影響をもたらし、正確性とともに迅速性も求められる。こうした認識の下、首相も自身のX(旧ツイッター)でトランプ氏との近接ショットを投稿するなど、硬軟織り交ぜた発信に努めてはいる。木原稔官房長官は29日の記者会見で「適時適切な情報発信に努める」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕米大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」の機内で撮影された高市早苗首相(手前左)とトランプ大統領(同右)(高市首相のXより)=28日

2025年10月29日 20時29分


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