「関税カード」で打開誇示=レアアース規制、大豆輸入が前進―米



【釜山時事】トランプ米大統領は中国の習近平国家主席との対面会談後、合成麻薬「フェンタニル」の流入を理由にした対中関税の10%引き下げを表明した。自身の象徴である関税という交渉カードを使い、懸案だった中国によるレアアース(希土類)輸出規制の延期やフェンタニル流入対策での協力、米国産大豆の購入拡大の合意を取り付けた。

「非常に重要な点で結論に達した。レアアースの問題は全て解決した」。トランプ氏は30日、記者団に会談の成果を誇示した。

首脳会談を前に100%の対中追加関税をぶち上げたトランプ氏。中国も報復の姿勢を示したが、100%超の高関税で米中間の貿易が5月に一時ストップしただけに、対立激化は避けたい思惑からの「脅し」(ベセント米財務長官)の意味合いが強かった。

米政権が圧力を強めたのは、世界の生産現場に幅広い影響が及ぶレアアースの規制強化を中国が突如発表したためだ。トランプ氏は今回のアジア歴訪で、レアアースの安定供給に向け日本やマレーシアなどと協定を結び、包囲網形成の構えを見せた。

米国産大豆の購入を絞られたことも懸案だった。来年11月の中間選挙まで約1年。大統領選で農村部がトランプ氏の有力支持基盤だっただけに、購入拡大の要請と並行し、国内農家支援策の検討を進めてきた。

トランプ氏は会談前日にも、合成麻薬の流入を理由に課した関税を引き下げる可能性を示唆。最終局面まで硬軟両様の揺さぶりをかけ続けた。

米国の関税引き下げに応じる形で、中国も報復措置を見直すと発表。関税適用の期限が迫っていた24%分も互いに停止期間を延長し、貿易摩擦の再燃は回避した。だが、したたかに交渉を進めてきた中国にトランプ氏がしびれを切らし、再び緊張が高まるリスクはくすぶり続ける。

【時事通信社】

2025年10月31日 07時25分

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