子どもに「相談する経験を」=職員有志で啓発活動―こども家庭庁



「学校で相談窓口を案内する紙をもらったけれど、何をどう話していいか分からない」―。大人に悩みを打ち明けることにハードルを感じる子どもの不安を解消しようと、こども家庭庁の職員有志が啓発活動に乗り出した。大きな悩みに直面した際に一人で抱え込まないよう、相談しやすい環境づくりに注力。職員は「小さな悩みでも相談する経験を積んでほしい」と呼び掛けている。

不登校やいじめの認知件数、小中高生の自殺者数は増加傾向にあり、困難に直面する子どもは数多い。こども家庭庁は「大人に相談することに抵抗がある」との声を踏まえ、2024年秋に職員約30人で子どもの悩みを受け止めるプロジェクトチーム(PT)を発足させた。全国の子どもや支援団体と意見交換を重ね、「相談は恥ずかしいことでも弱いことでもない」と伝える漫画や動画を作成。ホームページなどで発信している。

25年12月、東京都調布市で開催されたJリーグの試合では、FC東京の協力を得て会場の一角にブースを出展した。普段悩みを相談している身近な大人を尋ね、「家族」「学校の先生」などと記された箱にボールを入れてもらうコーナーを設置。その他に相談できる大人として思い浮かぶのは誰かについても聞き、「習い事の先生」「地域のひと」といった選択肢からシールを貼ってもらう企画も実施した。「悩み相談」を話題にすることで、心理的なハードルを下げるのが狙いだ。

ブースには多くの小学生や親子連れが訪れた。「最近友達とけんかして、家族や先生に相談した」と話す小学1年の男児や、「いつもたくさんお話ししてくれるね」と娘をなでる母親の姿も見られた。

PTは26年1月、中学校や高校を訪問し、悩みを受け止める出前授業を行う。若手職員は「悩みは人に話していいんだよと伝えたい」と力を込めた。

【時事通信社】 〔写真説明〕こども家庭庁のイベントブースを訪れた親子=2025年12月6日、東京都調布市の味の素スタジアム

2025年12月29日 19時44分


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