
災害時の避難生活に欠かせないトイレ環境の改善を目指し、NPO法人「日本トイレ研究所」(東京)が、携帯トイレの規格を策定し、備蓄する際は適合する製品を選ぶよう呼び掛けている。規格として、強度があって漏水や破れが生じない構造とし、吸収・防臭性能も備えることを挙げた。研究所はメーカーの求めに応じて、製品が規格に適合するかどうかを判断する評価も実施。ホームページで適合商品を紹介し、品質確保を後押ししている。
研究所は携帯トイレについて、洋式便座に便袋を敷き、利用者は通常通り便座に座って用を足すタイプのものを想定。便袋内に吸収剤を入れることで、便や尿を安定した状態で保管できる。便袋を交換した後は、ごみとして処分される。
研究所は2025年6月に規格を公開。加藤篤代表理事は策定した理由について「近年、製品が多数流通しているが、選ぶための基準がなかった」と説明する。規格の内容に関して、強度のほか、一度に排せつする時の便、尿、トイレットペーパーを保管できるだけの容量確保を求めた。性能面でも、防臭に加え、400ミリリットルの尿を取り込める吸収剤の使用を挙げた。
研究所は、適合商品だと一目で分かる推奨マークを作り、メーカーに使用を促している。加藤代表理事は、利用者に向けても「使ったことがないものは非常時も使えない。ぜひ一度試してほしい」と訴える。
研究所は今後も規格を更新する計画。使い方の表示が分かりやすいかなどの点も反映させたい考えという。
【時事通信社】
〔写真説明〕携帯トイレの使い方を広報しているNPO法人「日本トイレ研究所」の加藤篤代表理事=2025年12月4日、東京都港区
〔写真説明〕災害用の携帯トイレを取り付けた便器。黒い便袋に排せつ後、吸収剤をかけて処理する=2024年2月7日、東京都内
〔写真説明〕携帯トイレの規格に適合した製品に掲載できる推奨マーク(日本トイレ研究所提供)
2025年12月27日 14時32分