外国人政策・防衛力を重視=「高市色」濃く、支持層にも配慮―26年度予算案



高市早苗首相は2026年度予算案で、外国人政策や防衛力強化といった「高市カラー」の濃い分野を重視した。伝統的な自民党の支持基盤も意識し、診療報酬は30年ぶりの大幅引き上げ。内閣支持率が高水準を維持する中、政権の取り組みをアピールした格好だ。

「日本列島を強く、豊かにするための予算とした」。首相は26日、予算案の決定を受けて記者団にこう強調した。

予算案を見ると、外国人政策に関わる出入国在留管理庁の関係経費は2割増の987億円で、過去最高を更新。出入国管理の体制強化に172億円、不法滞在者対策に132億円を計上した。防衛費も同3.8%増の9兆円で過去最高となった。

入管庁が中核を担う外国人政策は、参政党が7月の参院選で掲げて躍進につなげた。自民支持層が流れたとみられ、今や保守派の旗頭となった首相に対し「岩盤支持層」奪還への期待が強い。防衛費を巡っては、首相は国内総生産(GDP)比2%への引き上げを25年度に前倒しで達成。来年4月ごろに明らかになる関連経費を含め、来年度も2%超とする方針だ。

一方、首相が「予算案の目玉」(政府筋)と位置付けたのが診療報酬の改定だ。ここ10年ほど1%を切っていた本体部分の伸びは3%を超えた。少子高齢化もあって社会保障費は膨張を続けているが、首相が「改革は必要だ」と決断したという。日本医師会関係者は「驚いた。われわれにとって、ありがたい内閣だ」と手放しで喜んだ。

ただ、一般会計総額も122兆円を超え過去最大を記録。首相が掲げる「責任ある積極財政」のうち、積極財政については有言実行した形だ。「責任ある」の部分に関し、政府高官は新規国債の発行額を「30兆円以下に抑えた」と誇示したが、国債の償還や利払いに充てる国債費は31兆円と初めて30兆円を突破した。

【時事通信社】 〔写真説明〕2026年度予算案が閣議決定されたことを受け、記者団の質問に答える高市早苗首相=26日午後、首相官邸 〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=26日午前、東京・永田町

2025年12月27日 07時04分


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