官邸に会議乱立、統廃合へ=高市政権「サンセット条項」検討



高市早苗政権は内閣官房や内閣府に乱立する会議体の統廃合に乗り出した。歴代政権が重要政策を官邸主導で進めようと相次ぎ設置し、組織が肥大化。「休眠状態」の会議も目立つ。木原稔官房長官が見直しを指示し、大幅削減を目指す。今後新設する会議体には一定の条件を満たせば自動的に廃止する「サンセット条項」を設けることも検討している。

首相や官房長官をトップとする会議体は内閣官房だけで88(11月26日時点)あり、2015年1月の39から約2.3倍に膨らんだ。

10月に発足した高市内閣は、岸田内閣が設けた「新しい資本主義実現本部」を廃止し、高市首相が訴える「強い経済」の実現を目指す「日本成長戦略本部」に衣替え。人口戦略、外国人政策、クマ被害対策などに関する会議を次々と発足させ、官邸の司令塔機能を強化しようとしている。

一方で2年以上開かれていない会議も残る。首相トップの「教育未来創造会議」は23年4月の提言以降、休業状態に。花粉症に関する関係閣僚会議も同10月を最後に対面で開催されていない。

会議の増加は業務の逼迫(ひっぱく)や非効率を招いている。内閣官房の定員は10年間で1.4倍の約1550人に増えたものの、1人の職員が複数の担当を兼ねる「併任問題」は深刻化。会議が休眠状態でも、現状報告を求められることがあり、担当職員の負担は続いている。

このため、目的の達成や一定期間開催していないなどの条件で会議を廃止する「見直し規定」の導入論が浮上した。木原氏は25日の記者会見で「事務の不断の見直しが重要だ。しっかり実行していく」と述べた。

政府はこれまでも会議の整理に取り組んできた。安倍内閣は16年、一部の事務を各府省庁に移管。岸田政権時の23年、河野太郎行政改革担当相が中心となり、17閣僚会議の廃止を決めた。歴代政権の思い入れも強い会議が存続しているが、官邸幹部は「思い切って廃止しようと思う」と決意を示した。

【時事通信社】 〔写真説明〕閣議に臨む高市早苗首相(中央)=26日、首相官邸

2025年12月28日 07時08分


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