上場廃止、今年は最多125社=市場改革で見直し機運―東証



2025年に東証で上場を廃止する企業は前年から31社増え、125社に上る見込みだ。13年に大証と現物株市場を統合して以降の最多を、2年連続で更新する。東証の市場改革をきっかけに上場の意義を見直す機運が高まっている。

上場廃止の要因として、経営陣による自社買収(MBO)の増加が目立つ。M&A(合併・買収)を助言するレコフ(東京)によると、25年にMBOの実施を発表した企業数は11月末時点で28社。前年の18社を大幅に上回り、年間過去最多も更新した。

背景には、東証が推し進めてきた市場改革がある。22年の市場再編時に上場維持の基準を厳格化し、23年には上場企業に資本効率や株価を意識した経営を行うよう要請。企業価値を持続的に高めるための対応を促した。

その結果、積極的な情報開示に迫られるなど、上場維持に必要なコストが増した。「物言う株主」の提案も活発化し、株主還元策への目配りがさらに求められるようになった。大和総研の神尾篤史主任研究員は「資金調達や信用力向上といった上場のメリットが、コストに見合うかを問い直す企業が増加した」とみる。

新規上場が減少したことも響き、25年末の東証の上場企業数は3782社と前年末より60社減る見通し。日本取引所グループの山道裕己最高経営責任者(CEO)は「企業数ではなく、質にこだわりたい」と述べている。

上場維持の基準を満たさない企業への経過措置が25年3月で終了したことなどを受け、26年も上場廃止件数は高止まりしそうだ。神尾氏は「市場の新陳代謝が進めば、成長を目指す企業に投資家の資金が入りやすくなる」と評価している。

【時事通信社】

2025年12月30日 07時09分

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