
【ブリュッセル時事】東欧のブルガリアが2026年1月1日、欧州単一通貨ユーロを導入する。23年のクロアチアに続く新規導入で、ユーロを法定通貨とする「ユーロ圏」は21カ国に拡大。欧州連合(EU)加盟27カ国で所得水準が最も低いブルガリアも通貨統合に加わり、経済的な恩恵が期待されるが、国内には反対論も根強い。
「やり遂げた!」。ブルガリアのジェリャスコフ首相は7月8日、X(旧ツイッター)への投稿で、EUからユーロ導入の最終承認を受けた喜びをあらわにした。同国は07年のEU加盟時から条約上の導入義務を負ってきたが、世界金融危機やコロナ禍によるインフレ高進、政治不安などを背景に実現を先送りしてきた。
人口約640万人を抱えるブルガリアの24年の国民1人当たり国内総生産(GDP)は2万6300ユーロ(約480万円)。EU平均(3万9700ユーロ)を大きく下回り、加盟国で最下位だ。それでも物価安定や財政規律の維持などに取り組み、「長い旅路の成果」(欧州中央銀行=ECB=のラガルド総裁)を手にした。
ユーロ導入により、ブルガリアにはユーロの信用力を背景とした政府・企業の資金調達コストの低下や海外からの投資拡大といった恩恵が期待できる。EUにとっても、域内経済格差の縮小による地域統合の進展に加え、地政学上の要衝であるバルカン半島の安定確保につながる。
一方、ブルガリア国内ではなおユーロ導入に反対する声も多く、最新の世論調査によると、反対が49%と賛成の42%を上回っている。導入が目前に迫った今月11日には、増税案や汚職のまん延などに抗議する大規模デモを受けてジェリャスコフ内閣が総辞職を表明。円滑な通貨の切り替えに懸念が広がっている。
【時事通信社】
〔写真説明〕ユーロ紙幣に署名する欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁(左)とブルガリア国立銀行のラデフ総裁=11月4日、ソフィア(AFP時事)
2025年12月30日 19時01分