立民、安保法制の新見解策定へ=「違憲部分廃止」の修正検討―国公との連携見据え



立憲民主党は集団的自衛権行使に道を開いた安全保障関連法に関し、党の新たな見解を2026年春にも打ち出す方針だ。基本政策に明記した「違憲部分を廃止」の主張の修正も見据える。政権奪取のため「現実路線」をアピールするとともに、安保関連法を容認する国民民主党や公明党との連携につなげる狙いがある。ただ、党内は見直しに慎重論が根強く、難航する可能性もある。

野田佳彦代表は保守色の濃い高市政権の誕生や参政党の支持拡大を踏まえ、進むべき道として「中道勢力の結集」を掲げる。安保政策はそのネックになるとみられていることから、「現実的な政策を念頭に置き、これまでのわれわれの主張を整理していく」と語る。

検討は岡田克也元外相が会長を務める外交・安保総合調査会を中心に既に始まっている。岡田氏は25年12月中旬の会合で「選挙のたびに『違憲部分は無効』という説明でやってきたが、それでは持たないのではないか。もう少し踏み込んだ方が良い」と訴えた。

集団的自衛権の行使を限定的に認める憲法解釈変更には、公明が与党として関わった。立民の源流である民主党は反対し、激しく対立。こうした経緯をよく知る立民幹部は「公明と連携するためにも、安保関連法の容認を視野に入れる必要がある」と指摘する。

立民と距離を取る国民民主の玉木雄一郎代表は、安保政策の違いを理由の一つに挙げてきた。それを意識し、野田氏は首相指名選挙の対応を巡る10月の野党協議で「違憲部分はこれまで見つかっていない」と明言。続いて枝野幸男元代表も「違憲部分はない。だから変えなくていい」と踏み込んだ。

一方で、立民内には反発や懸念の声が出ている。17年秋、安保関連法への賛同を合流の「踏み絵」にした希望の党に反発するリベラル系議員を中心に旗揚げしたのが党の始まり。「創業者」の枝野氏の発言には衝撃が走った。リベラル系のベテランは「結論ありきの議論をすれば党が割れる」とけん制する。

党関係者は当面の着地点として、基本政策の文言変更には至らず、新たな方向性を示すにとどまると予測。「国民民主や公明と実際はそれほど変わらないことを、一歩進んで見せられればいい」と話す。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見する立憲民主党の野田佳彦代表=2025年12月19日、国会内

2025年12月31日 14時31分


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