
自民党と日本維新の会の中で吉村洋文維新代表(大阪府知事)へのいら立ちが強まっている。与党内の反対論にもかかわらず、吉村氏は16日、「大阪都構想」に再挑戦するとして知事辞職願を提出。維新からは「独断だ」と批判が上がり、自民からも「身勝手だ」と不満が漏れる。与党内の不協和音は衆院選の選挙戦に影響する可能性もある。
吉村氏が辞職するのは、2月8日投開票が想定される衆院選に合わせて知事選を仕掛け、大阪都構想の3回目の住民投票に挑戦する是非を府民に問うためだ。維新所属の横山英幸大阪市長も吉村氏と共に辞職願を提出。吉村氏は16日、記者団に「批判は真摯(しんし)に受け止める」としつつ、「都構想への挑戦を選挙戦を通じて訴えたい」と強調した。
維新の国会議員団は反対論が大勢だ。関係者によると、15日に国会内で開かれた両院議員総会では、出席者約40人のうち約25人が反対し、賛成は数人にとどまった。中堅議員の一人は「大阪の有権者もダブル選には批判的だ。吉村氏が勝手に動いているだけだ」と冷ややかだ。
ダブル首長選で2人が再選される結果に終われば、任期が切れる来年4月に選挙を再び行わなければならず、「税金の無駄だ」との指摘もある。維新の馬場伸幸前代表は15日のインターネット番組で「なぜいまなのか、問われても答えられない。よく考えた方がいい」と苦言を呈した。
吉村氏の対応には自民も批判的だ。衆院選は自民にとって政権を維持できるかどうかの正念場だけに、党関係者は「維新は自分のことしか考えていない」と吐き捨てる。党重鎮は「吉村氏と維新国会議員団がコミュニケーションを取れていない」と維新の「ガバナンス」に不信感を募らせた。
維新では所属地方議員が国民健康保険料の支払いを逃れる「国保逃れ」問題が浮上しており、吉村氏の動きには局面転換の思惑も見え隠れする。立憲民主党の安住淳幹事長は14日、記者団に「衆院選に勝つために利用しようということ。卑しい手法だ」と酷評した。野党内ではダブル選に対抗馬を立てず黙殺する選択肢もささやかれており、結果的に吉村氏の「独り相撲」に終わる可能性も否定できない。
【時事通信社】
〔写真説明〕取材に応じる大阪府の吉村洋文知事=16日午後、同府庁
〔写真説明〕取材に応じる大阪府の吉村洋文知事(右端)=16日午後、同府庁
2026年01月17日 07時18分