抗告権、法務省死守の構え=自民反発、怒号飛び交う―再審法案、混迷続く



再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を巡り、法務省は検察官の不服申し立て(抗告)を死守する構えだ。自民党は15日に法務省の修正案を審査したが、抗告を温存したことに出席者が激しく反発。双方の歩み寄りは見えず、改正案提出を巡る混迷が続きそうだ。

「法務省のためにやっているんじゃない。ふざけるな」「会議を始められるわけがない」。党本部で開かれた法務部会などの合同会議は冒頭から怒号が飛び交った。会議は4時間以上行われたが、了承を見送った。

修正案は本則は変えずに抗告を維持し、裁判所が抗告の是非を審理する期間を「1年以内」とする努力義務を課すなどと付則に記載した。法務省は抗告を維持する理由について「三審制の下で確定した判決を、下級審の一回の判断で覆すのは不合理」としている。

これに対し、禁止を求める議員は抗告が冤罪(えんざい)の救済を遅らせる要因だと指摘してきた。1966年の静岡県一家殺害事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(90)のケースでは、地裁が再審開始を決めた後に検察が抗告し、実際に再審公判が始まるまで9年余りを要した。

15日の会合では、党内論議で示された意見が修正案にほとんど反映されていないことにも批判が続出。鈴木宗男参院議員は「議論が全く反映されていない。検察の抗告がある限り、第二の袴田事件が起きる」と訴えた。

法務省は、改正案を今国会で成立させる姿勢を変えていないが、自民内の異論はむしろ強まっている。法相経験者は「抗告を維持して提出しても、与党少数の参院で否決される」と懸念。ベテランは「こんな法案を衆院で再可決すれば2年後の参院選まで尾を引く。諦めるべきだ」と主張した。

改正案は首相が質疑に立つ「重要広範議案」に位置付けられており、仮に提出が見送られれば異例だ。ただ、政府関係者によると「首相官邸はあまり関心はない」という。政権幹部は「政府提出法案だから対応はするが、『高市印』の法案ではない」と法務省を突き放した。

【時事通信社】 〔写真説明〕自民党法務部会、司法制度調査会の合同会議であいさつする同調査会長の鈴木馨祐前法相(奥中央)=15日午後、東京・永田町の同党本部

2026年04月16日 07時04分


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