
超党派の「社会保障国民会議」では、中低所得層の負担軽減を目的とした「給付付き税額控除」の制度設計を巡る議論が進んでいる。論点の一つが国と自治体でどのように事務を役割分担するか。手続きが煩雑となることから、当面は市町村が主体となって給付のみを行う案も浮上しているが、自治体からは負担の増大を警戒する声も上がっている。
給付付き税額控除は、納税者の所得に応じて税額控除と給付を組み合わせる制度。政府はつなぎ措置として「食料品消費税ゼロ」を2年間実施した後、この制度を創設することを想定している。
国民会議の下に設けられた有識者会議では、国が給付事務を担う場合の課題について検討。政府は4月下旬の会合で、市町村が持つ住民の所得情報などを基に対象者の給付額を計算し、マイナンバーとひも付けた「公金受取口座」に振り込むシステムを構築するには少なくとも2年かかるとの見通しを示した。
国や自治体が把握していない金融所得や資産情報を含めた本格的な制度にするには、さらに数年程度の準備が必要になるとした。
有識者からは、税額控除と組み合わせない「給付のみ」を求める意見が相次いだ。市町村は過去の低所得者向け支援金給付の実務でノウハウを持つことから、「市町村が事務を担うのが現実的だ」との声も出た。
物価高対策で政府が2024年に実施した1人4万円の定額減税では、住民の所得情報の確認や申請書類のチェックなどで膨大な事務負担が生じた。このため、自治体側には「地方に過重な負担がかかるようなことがないように」(長野県大町市の牛越徹市長)とけん制する動きもある。
ただ、将来的に国がシステムを構築したとしても、住民からの問い合わせ対応や、受取口座を登録していない人への振り込み作業などは必要で、市町村には一定の事務負担が残るとみられる。国と自治体が役割分担し、スムーズに連携できる制度設計が課題の一つとなる。
【時事通信社】
〔写真説明〕消費税減税や給付付き税額控除について議論する超党派で構成される「社会保障国民会議」の有識者会議=3月24日、東京都内
2026年04月30日 15時24分