肥料原料のリン「国産化」=下水汚泥から回収、自治体で拡大



下水処理の過程で汚泥からリンの成分を取り出し、肥料化する取り組みが自治体で広がっている。肥料原料の輸入依存脱却に向けた試みで、全国で8都県市が再生リンの生産施設を整備。中東情勢の緊迫化などで肥料価格が国際的に上昇する中、「国産化」の動きが加速している。

リンは農産物の育成に不可欠な資源だが、ほぼ全量を輸入に頼っている。2022年のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに輸入が滞り、政府は食料安全保障を強化する観点から、下水汚泥の肥料化を進める方針を打ち出した。

東京都は24年1月、「砂町水再生センター」(江東区)の回収設備の稼働を開始。生産したリンを用いた肥料で野菜を試験栽培したところ「効果は既存肥料と遜色ない」とのデータが得られた。26年度からは全国流通が始まる見込みで、全国農業協同組合連合会(JA全農)と連携して広域出荷を目指す計画だ。

国土交通省によると、25年度末時点で、都を含め8自治体が計11のリン回収施設を整備。福岡市の「西部水処理センター」では今年4月、国内最大規模となる年間300トンを生産できる設備が稼働を始めた。リンの含有率が高い汚泥から効率的に集める技術を使い、従来の半分の設備規模で同程度の回収量を見込む。

国内のリンの年間需要量は30万トン。一方、全国で毎年発生する下水汚泥には5万トンが含まれているとされ、肥料化の期待は大きい。ただ、生産能力は追い付いていないのが現状で、砂町水再生センターも約70トンにとどまる。都担当者は「再生リンの製造コストは高く、輸入価格と比べると大きな差がある」と語り、コスト削減に向けた技術開発や公的な支援が課題になるとの見方を示す。

【時事通信社】 〔写真説明〕下水汚泥からリンを回収する設備=東京都江東区の砂町水再生センター(都下水道局提供) 〔写真説明〕福岡市で稼働を始めたリン回収設備=4月2日、同市の西部水処理センター 〔写真説明〕福岡市で稼働を始めたリン回収設備=4月2日、同市の西部水処理センター

2026年05月04日 07時07分


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