
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)が、利上げに前向きな「タカ派」路線を強めている。人工知能(AI)ブームに伴う投資拡大によるインフレ圧力の高まりに加え、景気や労働市場の底堅さが背景にある。米イスラエルとイランの戦闘に伴う原油相場の高騰が収まりつつある中、金融市場では、AIブームが物価を押し上げる構図が続くとの警戒感を受け、FRBが年内に利上げに踏み切るとの観測が広がっている。
足元のインフレ率は4%超と、FRBが目指す2%目標から遠のくばかり。要因の一つは、AIデータセンターへの投資活発化に伴うハイテク製品の需要増だ。直近のソフトウエア・コンピューター関連の物価上昇率は14%超と急伸した。リッチモンド連邦準備銀行によると、比較可能な1977年以降で過去最高の伸びとなった。
6月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、大多数の参加者がAI投資拡大などで物価高止まりが続く想定に言及。このうちほぼ全員が、利上げは妥当だとの認識を示した。雇用情勢の悪化懸念を抱き、1月のFOMCで利下げを主張したウォラー理事は、労働市場とインフレのリスクについて「完全に逆転した」と指摘。当面は物価抑制に注力する考えを鮮明にした。
一方、金融緩和に前向きな「ハト派」と目されるウォーシュ議長はAIによる物価上昇圧力の存在を認めつつも、「AIブームはある時点で供給側でも生じると確信している」と強調した。AI導入による生産性向上でインフレ圧力が和らげば、利下げが可能になるという従来の考えを示唆した形だ。
ただ、大多数のFRB高官は、AI投資拡大による堅調な経済活動が「より持続的なインフレ圧力につながりうる」と警戒。ウォーシュ氏との温度差が顕著になっている。
【時事通信社】
〔写真説明〕米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長=6月17日、ワシントン(EPA時事)
2026年07月12日 07時03分