
新幹線の移動に新たな「体験」を―。JR東海とJR西日本は10月から、東海道・山陽新幹線で最上級個室「SupremeClass(スプリームクラス)」の提供を始める。グリーン車を超える上質なサービスを提供するのが狙い。東海道新幹線に個室が復活するのは、引退した「100系」以来、23年ぶりとなる。丹羽俊介JR東海社長は「多彩なサービスを提供し、お客さまに楽しんでいただきたい」と語る。
両社は7、8両日、報道陣に個室を公開。2人で利用できる7号車の個室は、リクライニングシートとソファを配置し、グリーン車の3席分の広さ。価格は大人1人当たり東京―新大阪間(片道)で6万790円と、グリーン車より4万1400円高くなる。1人用の完全個室も10号車に設置。扉は電子錠付きで、飲み物と沿線の菓子のもてなしを受けられる。「他の客を気にせずゆったりと自由に過ごせる」(JR西日本)空間にこだわったという。
かつて東海道新幹線の100系には1~4人用の個室があり、当時のグリーン車料金に最大1000円程度を上乗せすれば利用できた。しかし、照明・空調などの調整機能はなかった。その後は個室のない新幹線に置き換わったが、コロナ禍を経て移動の需要は多様化。来年度には半個室の提供も始める。
民間シンクタンク、SOMPOインスティチュート・プラスの福嶋一太上級研究員は、リニア中央新幹線の開業後を見据えた取り組みだと指摘。「高速移動の顧客はリニアに吸い上げられる。新幹線の新たな役割を探る実験だ」と分析する。
「体験」を提供する試みはJR東日本でも進む。同社は来年度から夜間走行も行う特急列車「ルナ・アズール(青い月)」を運行する。乗車自体が目的となる旅行を提案し、沿線地域の観光需要を喚起するのが狙い。春から秋は品川―青森間を夜に運行。冬季は昼に品川―長野原草津口(群馬県)間を走行する。喜勢陽一社長は「明け方、日本海の風景を眺めながら走るのがお薦めだ」とPRに余念がない。
【時事通信社】
〔写真説明〕10月から提供が始まる東海道・山陽新幹線の最上級個室=8日、東京都品川区
〔写真説明〕10月から提供が始まる東海道・山陽新幹線の最上級個室サービス。ICカードを使用する電子錠が採用されている=7日、山陽新幹線車内
〔写真説明〕10月から提供が始まる東海道・山陽新幹線の最上級個室サービス=8日、東京都品川区
2026年07月11日 20時34分