
自民党は高市早苗首相(党総裁)の指示を受け、2年間に限った食料品の消費税減税に関する党内論議を31日から始める。執行部は8月上旬までの意見集約を目指すが、財政悪化への懸念から既に異論が相次ぐ。税率を戻す実質的な「増税」の是非が2028年参院選や次期衆院選の争点となりかねないとして、「延長含み」との見方が早くも出ている。
「消費税率を1%に引き下げることで党内をまとめてほしい」。首相は30日、党本部で開いた臨時役員会で鈴木俊一幹事長らにこう指示。党を代表する財政規律派の麻生太郎副総裁も出席したが、異論は出ず約10分で終了した。
議論は党税制調査会と社会保障制度調査会の合同会議が舞台となる。党内では歴史的大勝を果たした2月の衆院選で公約として掲げたため、「減税容認でまとまるだろう」との見方が多い。
一方で、30日には異論も相次いだ。麻生派の河野太郎元外相は記者団に「財源のめどが立っていない。さらなる円安につながる」と減税反対を明言。小渕優子元選対委員長は党税調の非公式幹部会合(インナー)のメンバーを辞任した。インナーは税制について事実上の決定権を持つ重要な役職で、首相への反発が理由とみられる。
さらに、大岡敏孝元環境副大臣は熊本地震への対応に多額の費用を要するとして、小林鷹之政調会長に「立ち止まって考えるべきだ」と提言。党四役経験者は「『減税反対』と会議で発言する」と予告した。首相周辺は「党内プロセスがヤマ場になる」と身構える。
選挙への影響を危惧する声もある。首相の方針通り27年4月に減税されると、29年3月末で税率は8%に戻る予定。その前年夏には参院選が行われ、衆院選も減税期間に重複する可能性がある。
財政規律派の重鎮は「減税しても物価はそれほど下がらない」との見方を示した上で、「税率は戻せない。増税を争点に選挙は戦えない」と吐露。中堅は「2年後に戻すのは厳しい。増税は延期すればいい」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕食料品消費税率の引き下げに関し、発言する高市早苗首相=30日午後、首相官邸
〔写真説明〕自民党の臨時役員会に臨む高市早苗首相(奥中央)ら=30日午前、東京・永田町の同党本部
〔写真説明〕記者団の取材に応じる自民党の鈴木俊一幹事長(中央)=30日午後、国会内
2026年07月31日 07時33分