「シリコンアイランド」に打撃=九州に半導体産業集積、復旧動きも―熊本震度7



熊本県で最大震度7を観測した地震を受け、周辺の半導体関連工場が一斉に停止した。九州は半導体関連の生産設備が集積する「シリコンアイランド」。「産業のコメ」と呼ばれ、自動車や家電など多種多様な製品に使われる半導体の供給が滞れば、幅広い産業に支障が出る恐れがあるだけに、各社は急ピッチで復旧作業を進めている。

ルネサスエレクトロニクスは29日夜、地震発生直後に停止した熊本県内の2工場のうち錦工場(錦町)の生産を再開した。同工場では主に自動車向けマイコンを製造しており、残る川尻工場(熊本市)も8月5日の再開を目指す。同工場は2016年の熊本地震の際も停止し、当時は震災前の生産水準に戻すまで1カ月程度かかった。

三菱電機も30日、停止していた熊本県内の2工場を一部再開。荏原製作所は同日、同県南関町の半導体製造装置工場の安全が確認できたとして生産を再開した。

半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロンは、点検のため熊本県内の2工場の稼働をいったん止めたが、河合利樹社長は30日の決算記者会見で、来週早々に復旧できるとの見通しを示した。

一方、ソニーグループは長崎県や大分県の工場を29日に再開したものの、スマートフォンのカメラなどに使う画像センサーを生産している熊本県菊陽町の工場は地震発生直後から停止が続く。TOPPANホールディングスも半導体部材を生産する玉名市の工場を停止している。

シリコンアイランド九州の象徴的存在である半導体受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町の工場は、建屋の構造上の安全は確認したが、「装置の調整作業に一定の時間を要する」としている。

早稲田大学大学院の長内厚教授は「半導体工場はクリーンルームや精密な製造設備などを有し、一般的な建物の耐久性とは異なる基準で、精密な点検や慎重な再稼働が求められる」と指摘。「注目すべきは止まったこと自体よりも、これからどれだけ早く生産が復旧するかだ」と語った。

九州には豊富な水資源などを背景に1960年代から多くの半導体工場が集まる。国際競争の激化で一時は衰退したが、近年は国の後押しもあり大手や外資が投資を拡大。九州半導体・デジタルイノベーション協議会によると、現在は700以上の関連事業所がある。

【時事通信社】 〔写真説明〕台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場=29日午後、熊本県菊陽町

2026年07月31日 08時17分


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