
高市早苗首相が表明した来年4月から2年間の食料品消費税の1%への減税を巡っては、インフレ局面では店頭価格の押し下げ効果は限定的との見方が強い。首相は物価高対策の狙いを強調する。ただ、押し下げ効果が不十分な場合、2年後に税率を8%に戻せば、減税前の水準よりも店頭価格が高くなってしまう恐れがある。
社会保障国民会議では、減税効果について「期待されているほど物価が下がらない可能性がある」との意見が有識者らから上がった。原材料費の高騰が続く中、コスト増を価格転嫁できていない事業者が減税を機にコスト転嫁を進める可能性が高いからだ。
特に年度初めの4月は、食品メーカーなどの価格改定が相次ぐ時期に当たる。来年も一斉値上げが見込まれる。ABC経済研究所の熊野英生代表エコノミストは、減税幅の7%分は下がらないと指摘。過去5年の食料品価格の平均上昇率は5.8%であることから、減税効果は「1年未満しか持続しない」と分析する。
一方、減税時の価格下落幅よりも、税率を戻す場合の価格上昇幅のほうが大きいとの見方も多い。国民会議では、欧州連合(EU)内で2015年までの30年間に実施された付加価値税の増減税が価格にどう反映されたかの研究事例が紹介された。それによると、減税の価格反映率は平均で13%だったのに対し、増税時は55%だったという。自民党内でも「(2年後に)かえって物価が上がる可能性が高く、本末転倒だ」(河野太郎元外相)といった反対意見が出る。
食料品消費税の1%への減税と残る1%分の給付の実施には年5兆円の財源が必要となるが、確保のめどは立っていない。金融市場では、高市政権の拡張的な財政政策への警戒から円安が進行する。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、「円安を通じて物価を押し上げ、(減税の)経済効果を損ねてしまう」と危惧する。
【時事通信社】
〔写真説明〕30日、首相官邸で取材に応じる高市早苗首相
2026年07月31日 08時10分